2017年11月9日~11月13日でワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC )2017が韓国ソウルのコエックスモールにて開催されました。
たくさんの観客が押し寄せ、大勢の立ち見客が会場を囲み、非常に盛り上がっていました。
さて、ワールドバリスタチャンピオンシップ2017において、従来から大幅に変更された点がありますので、WBC2017のプレゼンテーションを研究される前に一度ご確認ください。
ルール変更1:ワールドバリスタチャンピオンシップ2017のセミファイナル競技者数
セミファイナリストは合計16名
ワールドバリスタチャンピオンシップ2016までは、セミファイナルラウンドは12名でしたが、参加者の増加に伴い、セミファイナリストのポジション枠も増加しました。
16名中15名は、セミファイナルラウンド前の予選でのスコアを基準とし、高い順に15番目までが選ばれます。
そして、ワイルド・カードという制度で最後の1名が選出され、合計で16名でセミファイナルラウンドを競技します。
ワイルド・カードについて
セミファイナルラウンドの16番目について、チーム戦の結果を下に選出されます。
チーム戦で最も合計得点が高かったチームの中から、セミファイナルに選ばれていない競技者で、かつそのチーム内で一番得点が高い者がワイルド・カード・ポジション(wild-card position)を得ることができます。
そして、セミファイナルラウンドの16番目の競技者となります。
ケニアの代表Martin ShabayaバリスタがWBC2017のワイルド・カードを獲得
ワールドバリスタチャンピオンシップ2017では、チーム・タンパーというチームが最高チーム得点となりました。チーム・タンパーのうち、カナダ、イタリア、ルーマニア、中国の代表者は予選でスコアが15位以内のため、セミファイナリストとなりました。そのため、その次のスコアの高かったケニアの代表Martin Shabayaバリスタがワイルド・カード・ポジションを獲得し、セミファイナルラウンドの16番目の競技者となりました。
ケニアの代表Martin Shabayaバリスタは、2015年、2016年、2017年とケニア国内のバリスタチャンピオンシップで優勝しており、2015年のワールドバリスタチャンピオンシップでは43位、2016年のワールドバリスタチャンピオンシップでは24位という結果でした。それ以前の年も、ケニアは40位代~20位くらいを行き来していることが多かったです。このワイルド・カード・ポジションによって、セミファイナルラウンドで活躍できるバリスタに多様性がもたらされています。
ワールドバリスタチャンピオンシップ2017の10チーム
チームメンバーは、昨年2016年6月のワールドバリスタチャンピオンシップ2016にて発表されていました。
今までの歴史的なデータから成績を算出し、平均的になるようにチームが組まれています。
チームメンバーは以下の通りです。
チーム・タンパー
- カナダ
- イタリア
- ルーマニア
- 中国
- ケニア
- ベルギー
チーム・ノックボックス
- アメリカ
- コロンビア
- チェコ
- インド
- ニュージーランド
- リトアニア
チーム・ブレンド
- デンマーク
- 香港
- ハンガリー
- ノルウェイ
- パナマ
- ポルトガル
- トルコ
チーム・エスプレッソ
- イギリス
- 台湾
- ブラジル
- ラトビア
- ホンジュラス
- 南アフリカ
チーム・エクストラクト
- エルサルバドル
- フランス
- 韓国
- セルビア
- イラン
- スロバキア
チーム・ブリュー
- ドイツ
- ギリシャ
- オーストリア
- ニカラグア
- UAE
- インドネシア
- アイスランド
チーム・スチーム
- スウェーデン
- オランダ
- マレーシア
- ウガンダ
- ロシア
- エクアドル
チーム・スケール
- オーストラリア
- シンガポール
- コスタリカ
- ポーランド
- クロアチア
- フィリピン
- ザンビア
チーム・プレッシャー
- グァテマラ
- スイス
- アイルランド
- プエルトリコ
- ウクライナ
- ベトナム
チーム・ポルタフィルター
- 日本
- フィンランド
- メキシコ
- スペイン
- タイ
- ベラルーシ
ルール変更2:ワールドバリスタチャンピオンシップ2017のテーブルセッティング
via: Station-layouts of World Barista Championship 2017
従来までは、テーブルセッティングは1パターンのみでしたが、ワールドバリスタチャンピオンシップ2017から、9パターンとその反転させたパターンでテーブルセッティングすることが可能となりました。
約 1.8L x 0.9W x 0.9H (m)のエスプレッソマシーン用のテーブルを基準に、約 2.4L x 0.75 W x 1.0 H (m)の2つのテーブルを好みのパターンに変更することができます。机の高さも変更可能です。
センサリージャッジのイスもバーストゥールか低めのイスが選択でき、さらにイスなしのスタンド形式にすることも可能です。
なお、国内のバリスタチャンピオンシップは従来通りの1パターンのテーブルセッティングのみとなります。
ルール変更3:ワールドバリスタチャンピオンシップ2017のテクニカルジャッジ
ワールドバリスタチャンピオンシップ2017から、予選であるファーストラウンドのみ、4名のセンサリージャッジ、1名のテクニカルジャッジ、1名のヘッドジャッジ、そして、複数名のスコアに影響しないジャッジで評価されます。
ワールドバリスタチャンピオンシップのセミファイナルラウンドとファイナルラウンドに関しては、4名のセンサリージャッジと1名のヘッドジャッジにて評価されます。テクニカルジャッジの仕事は、ヘッドジャッジにて賄われるようです。
なお、国内のバリスタチャンピオンシップのプレゼンテーションは従来通りの4名のセンサリージャッジ、2名のテクニカルジャッジ、1名のヘッドジャッジにて評価されます。
ルール変更4:ワールドバリスタチャンピオンシップ2017からのフレーバープロファイル
「フレーバーの描写と説明は、エスプレッソに使用されるコーヒー豆とテイストプロファイルに相関関係があるものとする」という従来の文言が誤解の火種となっていたようで、「スペシャルティコーヒーに貢献するフレーバープロファイル(The flavor profile of the beverage served should support specialty coffee)」という文言へと変更されています。
ゲイシャ種がゲイシャ種らしいフレーバーであったり、ナチュラルプロセスがナチュラルプロセスの風味であるべきというようなものではなく、競技者はグローバルなスペシャルティコーヒーの世界にポジティブな関係性を説明・描写することが求められているのだと思います。
※このあたりは、かなりセンシティブなものなので、詳しくは英文で必ずご確認をお願いします。
2017 Summary of Changes to Rules & Regulations for the World Barista Championship
ルール変更5:ワールドバリスタチャンピオンシップ2017からのエスプレッソマシン温度
昨今エスプレッソの抽出温度に着目しているプレゼンテーションが増えているためか、抽出温度のコントロールが拡充されました。
エスプレッソマシンの抽出温度が、90.5~96度の間で選べるようになりました。
この変更で、さらに細かい点に着目され、プレゼンテーションの幅が広がることが予想されます。
あとは、オリジナルスコアシートを持って帰れるようになったり、ミルクビバレッジののラテアートのビジュアル評価でバランスを見られると明確に記述されたり、選定音楽がCDだけじゃなくてUSBとかMP3形式でもOKになったりしています。
重要な変更点は、上述部分かと思います。
細かい変更点は他にもありますので、公式のルール・アンド・レギュレーションも合わせてご確認ください。
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