2019年4月、アメリカのボストンにて開催されたワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)において、13位に入賞したコスタリカ代表María Elena Rivera(マリア・エレナ・リベラ)バリスタのプレゼンテーションを紹介します。
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María Elena Riveraバリスタは、Kaba Coffee Centerで働いています。今回が初めてのWBC参加のようですが、コスタリカ代表がセミファイナルに進出するのはWBC2012で8位に入賞したRICARDO AZOFEIFA氏以来の快挙です。
プレゼンでは、コスタリカの象徴的な品種としてビジャサルチのコーヒー豆を紹介しています。そして並外れたコーヒーを誰もがアクセスできるようにするために重要なことをお話しされています。
シグネシャービバレッジではコーヒー由来の材料を多く使用していますが、今までに使われている機会をあまり見かけなかった部分を使用しています。
WBC 2019 -13位María Elena Rivera-プレゼン動画
World Barista Championship セミファイナルの動画で確認できます。
WBC 2019 -13位María Elena Rivera-プレゼン概要
使用コーヒー1:コスタリカ・ラ モンタニャ・レッドハニー・ビジャサルチ
- 国:コスタリカ
 - 地域:Cirri Sur, Naranjo
 - 生産者:Barrantes Molina
 - 農園:ラ モンタニャ(Finca la Montaña)
 - マイクロミル:ラ ペルラ デル カフェ(La Perla del Cafe Micromill)
 - 品種:ビジャサルチ(Villa Sarchi)
 - プロセス:レッドハニープロセス
 - 標高:1500m
 
ビジャサルチについて
ビジャサルチはティピカとブルボンの突然変異種。
コスタリカで生まれた品種であり、コスタリカを象徴するような品種。
バランスがより、センサリーも楽しめる。
ラ モンタニャ農園について
1500mという高い標高に位置していて、それがシトラスの酸をもたらす。
日中には、大西洋側から温かくて湿り気のある風を受け、夜には、太平洋側から冷たく乾いた風をうける。それがゆっくりとした成熟をもたらす。そして、コーヒーチェリーの脂質と糖を増加させる。
火山灰土壌が豊富な栄養をもたらし、コーヒーに濃厚さと立体感がでて複雑性をもたらす。
完熟度合いが最大化した時点の1月にコーヒーチェリーを摘み取る。より多くのミューシレージが作られていて、コーヒーに甘さがでる。
ピッキングの後すぐに、農園のすぐ隣にあるマイクロミル:ラ ペルラ デル カフェへ運ぶ。
外にあるレイズドベッドで日光の下1日プリドライする。これによりミューシレージが早く乾燥し、パーチメントにしっかりとくっつくようになる。
それからグリーンハウスのレイズドベッドへ移し替え、15日間ゆっくりとした乾燥工程をとる。この長い乾燥工程がフルーツのフレーバー、甘み、ボディをもたらす。
コーヒー豆は定期的にひっくり返されることで酸と明確なフレーバーを得ることができる。
焙煎について
焙煎時間は12分。1ハゼの後焙煎を短くすることでシトラスの風味をもたらす。
プレゼンの要旨
並外れたコーヒーを誰もがアクセスできるようにすることがテーマ。
並外れたコーヒーは、必ずしも稀な実験や、レアなプロセス、難しいサイエンスや革命的なテクノロジーを必要としない。
オリジンの品質、プロセス、焙煎、抽出を極めること。基本に立ち返るようだが、それが並外れたコーヒーを作ることにつながる。
WBC 2019 -13位María Elena Rivera-プレゼンの流れ
- エスプレッソコース
 - ミルクビバレッジ
 - シグネチャービバレッジ
 
エスプレッソコース
レシピ
- 粉量: 23 g
 - 抽出量: 38 g
 - 抽出温度:92℃
 - 収率:19%
 - ベストなバランスになるレシピ。
 
ディスクリプター
- 甘み:ミディアム
 - 酸:ミディアムでエレガント
 - 苦み:ミディアムロー
 - グレープフルーツ
 - オレンジジャム
 - ダークキャラメル
 - ヘーゼルナッツ
 - ミディアムウェイト
 - ベルベットのような質感
 - 長く心地よいフィニッシュ
 
インストラクション
- 5回かき混ぜること。
 - 少し冷ましてから飲むこと。
 
ミルクビバレッジ
レシピ
- 粉量: 23 g
 - 抽出量: 38 g
 - 抽出温度:92℃
 - 収率:19%
 - 糖質5%、脂質3.6%、pH6.7のコスタリカのミルクを使用。
 - 1:2=エスプレッソ:ミルクの比率で作成。(ミルクの甘みとエスプレッソのテイストのバランスが最もよくなる)
 - ミルク温度:50℃(甘みと質感が最大化するポイント)
 
ディスクリプター
- スムースなマウスフィール
 - レモンプリン
 - ショートブレッド
 - ヘーゼルナッツ
 - ミルクチョコレート
 
シグネチャービバレッジ
コンセプト
センサリーの経験がユニークなものとなり、かつエスプレッソの風味特性が活きるドリンクを作成。
エスプレッソ 4ショット
- 粉量: 23 g
 - 抽出量: 38 g
 - 抽出温度:92℃
 - 収率:19%
 - プレゼンテーション序盤に抽出、クールダウンさせる。
 
材料1:コーヒーチャフのインフュージョン 50 g
- コスタリカ・ラ モンタニャ・レッドハニー・ビジャサルチの焙煎時に出たチャフを使用。
 - 6 gのチャフと150 gの水で12時間コールドブリューしたもの。
 - ドリンクに複雑性をもたらす。
 
材料2:パッションフルーツ 8 g
- 1時間前に絞ったばかりの新鮮なパッションフルーツを使用。
 - これはシトラスの風味をハイライトするために使用。
 - ドリンクに合わさるとピーチの風味をもたらす。
 
材料3:パネラリダクション 20 g
- パネラ(中南米の未精製の砂糖が主要成分のお菓子、panela,Piloncillo, Chancaca)を100 gとお湯50 gを低温で30分間加熱したもの。
 - ドリンクに合わせることでダークキャラメルの風味を強調する。
 
材料4:ミューシレージミルク 40 g
- コスタリカ・ラ モンタニャ・レッドハニー・ビジャサルチのハニープロセスの際のミューシレージ付きパーチメントを使用。
 - ミューシレージ付きパーチメントを50℃のミルクに入れて10分間コンスタントに混ぜて、こしたもの。
 - ドリンクと合わさることでボディとナッツの風味を引き上げる。
 
シグネチャービバレッジの工程
- 全材料を混ぜ合わせる。
 - ミキサーで7秒間ブレンドする。(少し温かいドリンク)
 -  ブランデーグラスに注いで提供。
→ブランデーグラスはアロマを引き立てる。 
ディスクリプター
- ピーチピューレ
 - タンジェリン
 - キャラメルの甘み
 - かすかにハーブティー
 - 重みのあるボディ
 - スムースでバタリーな質感
 
インストラクション
数回スワリングすること。
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ワールドワリスタチャンピオンシップ2019のまとめ
パッションフルーツを使用しているプレゼン
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