2018年6月、オランダはアムステルダムにて開催されたワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)において、15位になったイギリス代表のジョシュア・タルロ(Joshua Tarlo)バリスタのプレゼンテーションを紹介します。
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ジョシュア・タルロ バリスタは、もともとはカナダ生まれですが、バリスタからロースター、グリーンバイヤーを経験するためにオーストラリアとイギリスに移り住みました。
現在はイギリスのコーンウォールとロンドンにある有名ロースター兼カフェであるOrigin Coffeeに勤務されています。
なお、WBCは今回が初挑戦です。
UKBC2018優勝時のインタビューでは、素晴らしいことが起きたとき、その場その時にいなかった人にどうやったらその経験を共有することができるかについて話されていました。今回のプレゼンでも、ジョシュア・タルロ バリスタ自身が体験し感動したこと、その時のフレーバーを再現させ、同じ体験を作り出すことを主軸に置いたものとなっています。
WBC 2018 – ジョシュア・タルロ-15位プレゼン動画
※ワールドバリスタチャンピオンシップ2018の詳しい動画視聴方法はコチラをご確認ください。
WBC 2018 -ジョシュア・タルロ-15位プレゼン概要
プロセスと品種のみ異なる2種類のコーヒー豆を使用し、ブレンドして使用。
使用コーヒー1:コロンビア・ラ・ネグリタ・ナチュラル・ゲイシャ
- 国:コロンビア
- 地域:トリマ県 (Tolima region)
- 農園:ラ・ネグリタ (La Negrita)
- 生産者:マウリシオ・シャタフ(Mauricio Shattah)
- 品種:グリーンティップ・ゲイシャ
- 海抜:1800m
- プロセス:ナチュラル
使用コーヒー2:コロンビア・ラ・ネグリタ・タータリック・ファーメンテーション・ゲイシャ
- 国:コロンビア
- 地域:トリマ県 (Tolima region)
- 農園:ラ・ネグリタ (La Negrita)
- 生産者:マウリシオ・シャタフ(Mauricio Shattah)
- 品種:ブロンズティップ・ゲイシャ
- 海抜:1800m
- プロセス:タータリック・ファーメンテーション(酒石酸発酵、tartaric fermentation )
ブレンド
- ナチュラルプロセス:タ―タリック・ファーメンテーション=15:85でブレンド。
- 二つがこの分量で合わさることで、ユニークなフレーバーをもたらす。
ナチュラルプロセスについて
- 非常に清潔にナチュラル処理が行われている。
- 温度管理されたドライイングベッドで乾燥を行うことで、明確な風味がもたらされる。
タ―タリック・ファーメンテーションについて
- ウォッシュトの要領でプロセスする。
- 果肉を除去し、発酵タンクへ移す。
- そこへ酒石酸と水を加えて発酵させる。
- カップに新しいフレーバーをもたらす。
焙煎について
- フレーバーの体験を作り出すためには、フレーバーが明確であることが大切。
- フレーバーを明確にするためには、焙煎が重要。
- 全ての段階でフレーバー化合物を発達させることを意識。
- コーヒー豆の内側と外側は異なる度合いで発達していくため、極力同じになるように低温で均等に熱を加えて焙煎。
- フレーバーがより明確で強くなる。
イントロダクション
- 約7年前、コーヒーを飲みに行ったとき、バリスタがドリンクの風味を教えてくれた。
- そのコーヒーを飲んだ時、そのバリスタが言った通りの風味を感じることができた。
- バリスタが作り出したい経験を私自身が感じることができた。
- それはとてもワクワクすることだった。
- そしてその体験を作り出せる能力はとてもパワフルだった。
- フレーバーを通して繋がりを作ることができる・考えをシェアすることができるという能力は素晴らしいものだと感じた。
- プレゼンではそれを実践したいと思う。
WBC 2018 -ジョシュア・タルロ-15位プレゼンの流れ
- エスプレッソコース
- シグネチャービバレッジ
- ミルクビバレッジ
エスプレッソコース
ディスクリプタ
- 最初にザクロジュース、次に野生のラズベリー、ジャスミンティー、ハイビスカス、甘いチョコレート、マンダリン
- ウェイト:ミディアム
- テクスチャー:ミディアムハイ、シロップのよう、とてもスムース
- フィニッシュ:長く複雑
- 酸:複雑、酒石酸、クエン酸
- 甘み:ミディアムハイ、フレッシュフルーツのよう、その他の風味を強化する。
- 苦み:とても低い。しかし複雑。ピンクグレープフルーツ、ライチ
インストラクション
- 4回かき混ぜること。
シグネシャービバレッジ
- 生産者と農園を歩き、コーヒーチェリーを摘み取り、味わった。
- 初めて体験したその時のコーヒーの味は、ただのコーヒーのフレーバーではなかった。
- その経験を再現するドリンクを作成。
材料1: コーヒーの葉のお茶 2 g/カップ
- エルサルバドル・サンアントニオに農園を所有するカルロス・ポーラ(Carlos Pola)と生産性向上のためのプロジェクトを行ったときにヒントを得たもの。
- ウーロン茶のようにコーヒーの葉をプロセスする。
- 若い葉を摘み取り、蒸す。そしてアフリカンベッドで乾燥させる。
- その葉10 gを湯250 gに2分間で抽出したもの。
- ティーフレーバーをもたらす。
材料2:パイナップルジュースに漬け込んだ生豆を焙煎・ペーパー抽出したコーヒー 2 g/カップ
- 生豆はラ・ネグリタ農園のチェリーを思わせるようなニカラグア産のもの。
- 生豆:パイナップル=1:1の割合で、生豆の状態でパイナップルジュースに漬け込む。
- 焙煎、グラインドする。
- コーヒー豆 10 g に対して湯250 gを使用してペーパーフィルター抽出したもの。
材料3:マンゴージュースに漬け込んだカスカラ 3 g/カップ
- パナマ産のカスカラ。ラ・ネグリタ農園の木から摘み取ったものを想起させる。
- 新鮮なコーヒーの果肉と外皮部分をマンゴージュースに24時間漬け込み、乾燥させる。
→マンゴーの風味を加えるため。 - そのカスカラ15 gを水250 gで抽出したもの。
→トロピカルフルーツの風味をもたらす。
シグネチャービバレッジの工程
- エスプレッソに材料1,2,3を加える。
ディスクリプタ
- ザクロジュース、ハイビスカス、ウーロン茶、グリーンティー、マンゴー、パッションフルーツ
ミルクビバレッジ
焙煎により明確になったフレーバーを体験してもらう。
レシピ
- エスプレッソ:ミルク=1:2の比率で作成
- 粉量: 20 g
- 抽出量: 30 g
- 抽出時間:30 秒
- 全乳を使用。
ディスクリプタ
- ザクロジュース、ストロベリー、バニラアイスクリーム、バタースコッチ、タフィー
インストラクション
- すべての層が混ざるように4回かき混ぜること。
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