2014年イタリアのリミニにて開催されたワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC) にて4位に入賞したオーストラリア代表シンクタンクコーヒー(Think Tank Coffee)のクレイグ・サイモン(Craig Simon)バリスタのプレゼンテーションを紹介します。
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使用しているコーヒー豆は、ナインティプラス社のパナマ・ゲシャエステートのゲイシャ種です。
クレイグ・サイモン バリスタは、長年従事しているバリスタ業と焙煎業に加えて、コーヒーノキの摘み取り段階からプロセスにも参加することで得た結果をシェアしています。
ナチュラルプロセスにみられるフルーツの風味とウォッシュドプロセスにみられる風味の明確さという二つの素晴らしい特徴を併せ持つコーヒーの可能性を追求しました。
そして、ナインティプラスCOEのジョセフ・ブロドスキー氏とともに両プロセスのハイブリット型のプロセスを考案しました。
ハイブリットプロセスのコーヒーは、クレイグ・サイモン バリスタ自身の興味関心を反映させて生まれたものです。
そのことから、さらなるコーヒーの可能性を追求するためには、風味特性において顧客の「何が好みか」というフィードバックを獲得し、反映させることの重要性を指摘しています。
シグネチャービバレッジでは、ジャッジに2つの選択肢を提示し、ジャッジが選択したドリンクを作成することで、ジャッジの興味関心というフィードバックを取り入れています。
そして、そのフィードバックは、今後のコーヒー栽培に活かされるものであると伝えています。
シグネチャービバレッジの副材料は、ピンクグレープフルーツ、ハニーシロップ、アールグレイティー、ミネラルウォーターを使用しています。
ワールドバリスタチャンピオンシップ2014, 4位 –
クレイグ・サイモンプレゼン概要
使用コーヒー:ナインティプラス・パナマ・ゲシャエステート・ハイブリットプロセス
ナインティプラス・パナマ・ゲシャエステート・ハイブリットプロセスの基本情報
- 国:パナマ
- 地域:ボルカン
- 農園:ゲシャエステート
- プロセス:ハイブリット(ナチュラル・ウォッシュド)
- 品種:ゲイシャ
- 農園主:ナインティプラス社
クレイグ・サイモンバリスタの情熱・好奇心から始まったプロセス改良
- もともとフレーバーの明確性がどこからくるものなのか興味があった。
- ナチュラルプロセスには、フルーツの風味の素晴らしさを感じる。
- ウォッシュドプロセスには、カップの鮮やかさ、明確性を感じる。
- このふたつの素晴らしい風味特徴を併せ持つコーヒーを作り出すことができればとその可能性を追求し、ハイドリッドプロセスに至った。
ハイブリットプロセスについて
- ナインティプラス社COEのジョセフ・ブロドスキーと共に作り上げたプロセス。
- コーヒーノキから最も完熟した実のみを摘み取る。
- 16時間放置する。
→ネクタリンのような甘みとフルーツの風味が引き出される。 - 最終的な洗浄の前に、パルパーにかけ、12時間発酵させる。
- 実験を行った結果、12時間発酵が最も明確で鮮やかな風味をもたらすことを確認。
- 発酵時間が12時間より短い場合、風味の明確性と鮮やかさを失う。
- 発酵時間が12時間より長い場合、風味と酸の質が著しく低下する。
→この12時間発酵により、ライムの風味がもたらされる。
- その後、乾燥用のベッドに移して乾燥する。
焙煎について
- クレイグ・サイモンバリスタ自身で焙煎も行った。
- 濃厚なフルーツの風味を得るため、コーヒー豆が麦わら色からシナモン色の段階で加熱を低下させる。
→有機酸の反応をゆっくりと進ませる効果がある。 - 焙煎レベルを上げないために、1ハゼの始まりの段階で加熱を低下させる。
→ダークローストにせずにカラメル化を進めることができる。
ワールドバリスタチャンピオンシップ2014, 4位 –
クレイグ・サイモンプレゼンの流れ
- エスプレッソコース
- ミルクビバレッジ
- シグネシャービバレッジ
エスプレッソコース
エスプレッソコースのフレーバー/タクタイル
- ネクタリン
- ライム
- シルキーミディアムマウスフィール
- アールグレイティーフィニッシュ
ミルクビバレッジ
ミルクビバレッジのフレーバー
- アプリコット
- キャラメル
シグネシャービバレッジ
シグネチャービバレッジのコンセプト
- ハイブリットプロセスのコーヒーは、ナチュラルプロセスとウォッシュドプロセスの風味特性を併せ持つコーヒーを作ることが可能であることを示した。
- そして、バリスタ自身の興味関心を反映させたプロセスから生まれた風味特性を持つことから、風味特性において「何が好みか」を知ることの重要性を再確認した。
- シグネチャービバレッジでは、ジャッジに2つの選択肢を提示し、ジャッジが選んだ(つまり、ジャッジのフィードバックを取り入れた)ドリンクを作成する。
シグネチャービバレッジの選択肢の2つのオプション
- オプション1:ナチュラルプロセスの特性をより強調したフレーバーのドリンク
→コーヒーチェリーの果実との接触時間を2倍にしたことによる濃厚なフルーツの風味をより引き出したもの。 - オプション2:ウォッシュドプロセスよりの風味特性をもつドリンク。
→複雑なシトラスの風味を引き出したもの。
→ジャッジはオプション2を選択。
材料1:ピンクグレープフルーツ 4 ml
- エスプレッソのライムと合わさり、複雑な風味をもたらす。
材料2:ハニーシロップ 6 ml
- はちみつを使用直前にお湯で割って混ぜてから使用する。
- 甘みを調整する。
材料3:アールグレイティー 6 ml
- より複雑な風味をもたらす。
材料4:ミネラルウォーター 8 ml
- 鮮やかさと明確な風味をもたらす。
シグネチャービバレッジの工程
- エスプレッソを抽出中にエスプレッソマシンのスチームで水を温める。
- 温めた水を材料2に使用する。
- 材料1,2,3,4をエスプレッソに加える。
シグネチャービバレッジのフレーバー
- 1口目:複雑な酸、シトラスの風味
- 2口目:ハニーの甘み、粘性のあるマウスフィールをもたらす。
- 3口目:アールグレイ
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