2016年ダブリンにて開催されたワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC) にて5位に入賞したフランス代表シャーロット・マラバル(CHARLOTTE MALAVAL)バリスタのプレゼンテーションを紹介します。
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シャーロット・マラバル バリスタは、ディッタアルティジアナーレ(Ditta Artigianale)所属です。
コーヒーの風味特性は我々の期待、つまり我々の脳が創り出しているものであり、消費者が適切な期待と感情を抱くことができるようにバリスタが提案することで、素晴らしいフレーバー体験をもたらすことができるとプレゼンテーションしています。
その例として、エルサルバドル・サン・ロベルト農園の長い間剪定もされていない80年以上になるブルボンの木から採取されたコーヒー豆を使用しています。それに加えて、角度で現れる動物が変化する絵や、パズル絵、実際の農園のコーヒーノキの写真という複数のビジュアルイメージを利用して説明しています。
シグネシャービバレッジでは、バジル、ストロベリー、シナモンを漬け込んだブラウンシュガーシロップを使用して、隠されたチェリーの風味を引き出しています。
ワールドバリスタチャンピオンシップ2016, 5位
シャーロット・マラバル-プレゼン概要
使用コーヒー:エルサルバドル・サン・ロベルト・ブルボン
エルサルバドル・サン・ロベルト・ブルボンの基本情報
- 国:エルサルバドル
- 地域:チャルチュアパ・サンタ・アナ(野生、80年代決して剪定されない)
- 農園:サン・ロベルト(San Roberto)
- プロセス:ウォッシュト
- 品種:ブルボン
- 標高:1500m
- 農法:有機栽培
プレゼンテーションの要旨
- 農園の持続可能性とカップの品質をコネクトさせるため、エルサルバドル・サン・ロベルト農園へ訪れた。
- そこで学んだ最も重要なことは、コーヒー豆とその素晴らしさは必ずしも見た通りではないということ。
- その農園は、低い標高、野性的な農園、80年以上剪定されていない古いブルボンの木、全てネガティブなサウンドを含むが、素晴らしい風味をもっている。
- 最終的に気付いたことは、コーヒーに対する個人的な期待がコーヒーの本当の品質に対する自分の判断に見えなくしてしまっていたこと。
- バリスタの根本的な役割は、素晴らしい風味のポテンシャルを開花させるために、正しい期待促し、そこに感情を生み出すこと。
- それは、提案力を活かして知覚経験を最大にすること。
- エスプレッソコースでは、フレーバー描写を通じて発見したエルサルバドル・サン・ロベルト・ブルボンの素晴らしさを共有。
- ミルクコースでは、要素を分解して、エルサルバドル・サン・ロベルト・ブルボンの独自性を説明。シグネシャービバレッジでは、フードペアリング・サイエンスを利用して、新しい一面を見せる。
- 角度を変えるとうさぎからアヒルに変わる絵を使用して、フレーバーとアロマはそれ自体で存在しているのではなく、脳が創り出していることを指摘。
- そして、絵の角度を変えたときにうさぎからアヒルに認識が変化したように、1種類のコーヒーでも我々が創り出している期待の角度を変更することによって、異なる複数のフレーバー体験を作り出すことができる。
焙煎について
- 焙煎時間:9分
- 1ハゼ後2分後に加熱を止める。
- デベロップメント:22%
ワールドバリスタチャンピオンシップ2016, 5位
シャーロット・マラバル-プレゼンの流れ
- エスプレッソコース(シグニチャービバレッジ用のエスプレッソを同時に抽出)
- ミルクビバレッジ(シグニチャービバレッジ用のエスプレッソを同時に抽出)
- シグネシャービバレッジ
エスプレッソコース
エスプレッソコースのレシピ
- 粉量:18 g
- 抽出量:40 g
エスプレッソコースのフレーバー
- 最初に明るいプラムの酸
- 次にオレンジの甘み
- 最後にフローラルと繊細ながら長く持続するフィニッシュ
- シルキーでスムースなテクスチャ
エスプレッソコースでのインストラクション
まずは、フレーバー描写を意識して飲むように促す。
ミルクビバレッジ
ミルクビバレッジのコンセプト
- コントロールできない土壌的な環境に加えて、コントロール可能なことである完熟した実の摘み取り、発酵・洗浄・乾燥プロセス、焙煎、抽出、水とミルクが合わさってできたのがこのミルクビバレッジ。
- これらを最終的にカップの絵になるパズルピースを使用して説明し、バリスタが全ての要素をわかりやすくカップの品質に繋げて説明することの重要性を説明。
ミルクビバレッジのレシピ
- 粉量:15 g
- 抽出量:36 g
- 液体の固形分を減らし、ドリンクのバランスを向上させ、少量のミルクとのハーモニーを楽しむ。
- エスプレッソを抽出後、金属メッシュフィルターで透過させ、エスプレッソの温度を下げる。
→甘みが向上しフレーバーが明確になる。
ミルクビバレッジのフレーバー
- ダークチョコレート
- アーモンド
- クリーミーでベルベットのようなテクスチャ
→完璧な焙煎とミルクからくるもの。
ミルクビバレッジでのインストラクション
- 5回混ぜること。
→風味を均一にするため。
シグネシャービバレッジ
シグネチャービバレッジのコンセプト
- フードペアリングを意識したもの。複雑さと濃厚なプラムの酸とオレンジの甘みで隠れてしまっている風味であるエルサルバドル・サン・ロベルト・ブルボンのコーヒーチェリーの風味を副材料を用いて引き出す。
- 副材料は、コーヒーチェリーと同似たような分子組成を持つものを使用。
材料1:バジルとストロベリーのジュース 12g
- 新鮮なストロベリージュース50gをを温める
- バジル1葉を中に入れる。
- 12g使用する。
材料2:ブラウンシュガーシロップ 15g
- シナモンを12時間漬け込んだもの。
シグネチャービバレッジの工程
- 材料1と材料2を氷の上に注ぎ急冷させ、透過させる。
- エスプレッソを混ぜ合わせる。
→冷やすことで、リンゴ酸が引き立ち、ラウンド、ベルベット、シルキーなテクスチャがもたらされる。
シグネチャービバレッジのフレーバー
- 最初にオレンジの甘さ
- 次にプラムの酸に変化
- チェリーの甘さのあるアフターテイスト
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