2016年ダブリンにて開催されたワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC) にて6位に入賞したオランダ代表レックス・ウェネケル(Lex Wenneker)バリスタのプレゼンテーションを紹介します。
スポンサーリンク
エスプレッソサービスウエスト(Espresso Service West)のレックス・ウェネケル バリスタは、WBC2015では15位、そしてWBC2016では6位に入賞しました。
プレゼンテーションでは、単一農園でたくさんの品種を栽培しているコロンビア・ラス・マルガリータス農園のスダン ルメ、ゲイシャ、パカマラの3種類のコーヒー豆を使用しています。レストランでワインを頼むとき、「フランス産のピノノワール」というように国名に品種を加えて注文するように、コーヒーでも品種による大きな風味の違いがあることを指摘しています。そして、同じ農園・同じプロセス・同じ焙煎で品種のみ異なるコーヒー豆を3種類用意し、どのようにしてその考えを広めていくのかにフォーカスしたプレゼンテーションを行っています。
シグネシャービバレッジでは、パカマラ種のコーヒー豆を使用し、梨、エルダーフラワー、マスカットを混ぜ合わせて減水させたフルーツソース、ザクロシロップを副材料として使用しています。そして、それらをブレンダーで混ぜ合わせて質感をプラスしたドリンクを作成しています。そのシグネシャービバレッジを一例としてパカマラ種に期待される定番の風味を表現しています。
ワールドバリスタチャンピオンシップ2016, 6位 –
レックス・ウェネケル-プレゼン概要
同じ農園、同じプロセス、同じ焙煎で品種が異なる3種類のコーヒー豆を使用。
使用コーヒー:コロンビア・ラス・マルガリータス
コロンビア・ラス・マルガリータスの基本情報
- 国:コロンビア
- 地域:バジェ・デル・カウカ県カイセドニア(CAICEDONIA, VALLE DEL CAUCA)
- 生産者:カフェ・グランハ・ラ・エスペランサ(Café Granja La Esperanza)
- 農園:ラス・マルガリータス(LAS MARGARITAS)
- プロセス:ナチュラル
- 標高:1750m
- 焙煎:ライトロースト
- 品種1:スダン ルメ(エスプレッソコースで使用)
- 品種1:ゲイシャ(ミルクビバレッジで使用)
- 品種1:パカマラ(シグネチャービバレッジで使用)
ラス・マルガリータス農園について
- コロンビアの中央山脈1750mに位置する農園。
- 完璧に完熟した実のみを摘み取る。
- 実験的なプロセスを積極的に取り組み、乾燥プロセス、発酵時間がすべて記録されている。
- 単一農園でスダンルメ、ゲイシャ、パカマラなど複数の品種を栽培している。
- 12時間発酵工程の後、43度に整えた一貫した温度でコーヒー豆の水分値が5%になるまで乾燥。
単一農園の3種類の異なる品種を使用したプレゼンテーション
- レストランでワインを頼むとき、「フランス産のピノノワール」というように国名に品種を加えて注文するが、カフェでは、「コロンビア」と注文し、不思議に思い始めたことがきっかけ。
- ワインを初めて頼むとき、その品種からどんな風味をイメージしたらよいのかわからなかった。コーヒーにも同じことが適用できて、ワインと同じようなアプローチが必要となる。
- 品種とドリンクに合わせた抽出レシピ以外の条件(農園、標高、プロセス、焙煎)を同じにして、品種による風味の違いを表現。
- 品種は、エスプレッソコースはスダンルメ、ミルクビバレッジはゲイシャ、シグネチャービバレッジはパカマラを使用する。
- それぞれのドリンクを提供する前に、ワイン瓶に入れられた、同じ品種をフィルター抽出したコーヒーをワイングラスに注いで参考として提供。
品種:スダン ルメについて
- 2015年12月に収穫されたものを使用。
- エチオピア原産の珍しい品種
- 低い収穫量ではあるが、ユニークなフレーバーを持つ。
- 美しいフローラルなアロマとトロピカルフルーツの風味を持つ。
品種:ゲイシャについて
- スダンルメと同じ収穫と同じプロセス。
- 複雑な酸とレッドグレープの風味を持つ。
品種:パカマラについて
- スダンルメ、ゲイシャと同じ農園、プロセス。
- 重みのある甘み、クリーミーなボディ、明るい酸の特徴がある。
- よく熟れたチェリーの風味、ダークチョコレートの風味を持つ。
ワールドバリスタチャンピオンシップ2016, 6位 –
レックス・ウェネケル-プレゼンの流れ
- シグネチャービバレッジ用のエスプレッソを抽出
- エスプレッソコース
- ミルクビバレッジ
- シグネシャービバレッジ
エスプレッソコース
エスプレッソコースのレシピ
- スダン ルメを使用。
- 粉量:20 g
- 抽出量:50 g
エスプレッソコースのフレーバー
- 甘み:ミディアム
- 酸:ハイ
- 苦み:ローからミディアム
- レモングラス
- オレンジ
- ザクロ
- ミディアムウェイト
- シルキーマウスフィール
- フィニッシュに長く続くヘーゼルナッツ
エスプレッソコースのインストラクション
- 冷やして味の明確さを向上させるために10回かき混ぜて少し冷ます。
ミルクビバレッジ
ミルクビバレッジのレシピ
- ゲイシャを使用。
- 粉量:20 g
- 抽出量:40 g
- 比率:エスプレッソ:ミルク=1:4
- レックスバリスタの自宅から遠くない距離に位置する酪農場の牛乳を使用。
- 小さな農場で、牛の数は約60頭。
- 素晴らしく甘い、クリーミーなミルクを生産している。
- ゲイシャの風味と素晴らしいバランスとなる。
ミルクビバレッジのフレーバー
- ココナッツヨーグルト
- かすかにネクタリン
- 生アーモンド
シグネシャービバレッジ
コンセプト
カフェに行って品種で注文できた場合の一例として、パカマラに期待される風味である重みのある甘み、クリーミーなボディ、明るい酸の特徴を引き出したドリンクを提供。
エスプレッソ 4ショット
- 粉量:19 g
- 抽出量:40 g
- パカマラを使用。
- エスプレッソコースの前に抽出し、クールダウン。
→フレーバーが明確になる。
材料1:梨、エルダーフラワー、マスカットのリダクション 21g
- 梨、エルダーフラワー、マスカットを等分混ぜ合せて、フィルターでこし、80%減水させたものに、てんさい糖2gを加えたもの。
→パカマラ種の重みのある甘みを引き出すため。
材料2:ザクロシロップ 10g
- 甘くて酸のあるザクロジュースを50%まで加熱減水したもの。
→パカマラ種の明るい酸を強調するため。
シグネチャービバレッジの工程
- エスプレッソに材料1,2を加える。
- ブレンダーでしっかりとブレンドする。
→パカマラ種のクリーミーな質感をつくるため。
シグネチャービバレッジのフレーバー
- 重みのある甘み
- ネクタリン
- クリーミーなボディ
- カカオの風味
- 明るい酸
- ザクロのアフターテイスト
関連記事
2018年ワールドバリスタチャンピオンシップでのプレゼン
ワールドバリスタチャンピオンシップ2018-オランダ代表レックス・ウェネケル
スダン ルメを初紹介したササ・セスティック氏のプレゼン
ササ・セスティック| WBC 2015 – 優勝-オーストラリア代表のプレゼンテーション概要
ワールドバリスタチャンピオンシップ2016まとめ
同じ生産者オーナーのドン・リゴベルト氏の別の農園のコーヒー豆を使用したプレゼン
ワールドバリスタチャンピオンシップ2016-11位香港代表ドーン・チャン
スポンサーリンク
コメントを残す