2018年ワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)にて準優勝した主催国オランダ代表レックス・ウェネケル(Lex Wenneker)バリスタのプレゼンテーションを紹介します。
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ロースターFriedhats Coffeeを運営しているレックス・ウェネケル バリスタは、WBCは3度目の挑戦です。
成績はWBC2015では15位、WBC2016では6位です。今回WBCが自国で開催されたため、今回が最後の挑戦と決意しているようです。
WBCの好きなところは、実験的なことに取り組むことでスペシャルティコーヒーの限界を押し広げることができる点と説明し、有名生産者が取り組んだ最新の実験的な取り組みを紹介しています。
WBC 2018 – レックス・ウェネケル-プレゼン動画
※ワールドバリスタチャンピオンシップ2018の詳しい動画視聴方法はコチラをご確認ください。
WBC 2018 -レックス・ウェネケル-プレゼン概要
使用コーヒー:コロンビア・セロ アズール・ゲイシャX.O.
コロンビア・セロ アズール・ゲイシャX.O.の基本情報
- 国:コロンビア
- 地域:バジェ・デル・カウカ県トルヒージョ(Trujillo, Valle del Cauca)
- 農園:セロ アズール(セロ・アスール、Cerro Azul)
- 品種:ゲイシャ
- プロセス:X.O.
- 生産者:カフェ・グランハ・ラ・エスペランサ(Café Granja La Esperanza)
- 海抜:1950m
セロ アズール農園について
- 2つの山の山頂の間に位置している美しい農園。
- 高い標高が明るい酸をもたらす。
- 日中は太陽の下でたくさんの日を浴びて成熟する。
- 夜間は長い期間美しい霧に包まれ、涼しい気温、高い湿度の影響でチェリーはゆっくりと成熟し、糖が生成されることでコーヒーに濃厚な甘みをもたらす。
ゲイシャ種について
- 2008年にパマナから持ってきたゲイシャ種のコーヒーノキを植え始める。
- ゲイシャ種はとても脆い品種。収穫効率が低く、適切な環境が必要で大変手間がかかる。
- しかし、そのリスクをとってでもゲイシャ種ならではの明確な風味特性があるため、生産者カフェ・グランハ・ラ・エスペランサはゲイシャ種を育てている。
生産者カフェ・グランハ・ラ・エスペランサについて
- 2014年から生産者カフェ・グランハ・ラ・エスペランサとともにビジネスを始める。
- 生産者は実験することが大好きで、あらゆることに関して新しい取り組みに挑戦している。
- たくさんの品種を育てたり、新しいプロセス、乾燥方法、発酵のスタイルを実験して、すべての経過と結果を記録している。
- 今回紹介するのがカフェ・グランハ・ラ・エスペランサの最新の実験。
- 2016年に生産者カフェ・グランハ・ラ・エスペランサはX.O.(エックスオー)という前段階の発酵プロセスを改良したプロセスを考案・実験したところ、シロップのような甘さがあり、コニャックを想起させる風味を得た。
- そのX.O.プロセスをセロ アズール農園の中でも極小ロットのゲイシャ種に適応したものが、今回使用しているコーヒー。
X.O.プロセスについて
- 乾燥させる前に、摘み取り後から48時間チェリーのまま発酵させる。
- 発酵時間が長いため、アルコールが発生し、酸が増加しすぎるため、糖度を正確にブリックス値18度に調整する。
- このとき、欠点豆は取り除かれる。
- 発酵の温度は25度未満に維持する。
- その後、48時間乾燥機にかけて乾燥させる。
→セロ アズール農園のゲイシャ種にX.O.プロセスが組み合わさることで、素晴らしい風味がエスプレッソに生まれる。
焙煎について
- 全てのコースが同じ焙煎。
- 焙煎時間:8分30秒
- 焙煎終了温度:202℃
- デベロップメントタイム:1分20秒
→甘みが最大化され、明るい酸を感じる。
WBC 2018 -レックス・ウェネケル-プレゼンの流れ
- エスプレッソコース
- ミルクビバレッジ
- シグネチャービバレッジ
エスプレッソコース
レシピ
- 粉量:20 g
- 抽出量:50 g
フレーバー
- オレンジの花
- パッションフルーツ
- カンタロープメロン
- ミディアムウェイト
- シルキー
- 甘くて美しく、長く続くフィニッシュ
- 高い酸と甘み
- 低度から中間程度の苦み
インストラクション
- 少し温度を下げるためフレーバーを明確にするため、スプーンで6回かき混ぜてから飲むこと
ミルクビバレッジ
レシピ
- エスプレッソ:ミルク=1:3
- 粉量:20 g
- 抽出量:38 g
- 脂肪分:4.4%
- ミルクは、アムステルダムのそばの酪農場、65頭の草のみを飼料として肥育した乳牛のもの。
- とてもクリーミーなミルク。
- エスプレッソとマッチする。
フレーバー
- マンゴー
- バナナ
- 最後にミルクチョコレート
シグネチャービバレッジ
コンセプト
スペシャルティコーヒーの世界を押し広げたX.O.プロセスとゲイシャ種のコンビネーションからインスピレーションを受けて考案したコーヒードリンク。
エスプレッソ
- 粉量:20 g
- 抽出量:50 g
材料1:ライチをウォーターケフィアで発酵させたもの 24g
- セロ アズール農園へ訪れた際、X.O.プロセスのブリックス値18度に調整されたコーヒーチェリーを食べたところ、新鮮なライチの風味がした。そのインスピレーションからライチを使用。
- X.O.プロセスは発酵過程でコーヒーの風味を著しく変化させている。そのインスピレーションからライチをウォーターケフィアで発酵させることを考えた。
- ライチをウォーターケフィア(water-kefir)に浸漬し、18度未満の温度を維持して22時間発酵させる。
- その後チルドで保管し、アルコールの発生を防ぐ。
- プレゼンテーション中はマグネティックスターラーで撹拌させておく。
- 使用直前にフィルターでこしてから使用。
- 発酵時に生成された乳酸は、シグニチャービバレッジのボディを引き上げ、ライチの酸をもたらす。
- 材料2の甘みとバランスがとれる。
材料2:ブッシュカンの皮を浸漬したラベンダーシロップ 6 g
- ゲイシャ種のもつ典型的な明るい風味をハイライトする。
- ブッシュカンとラベンダーがそれらを表現するのに最適だと考える。
- ラベンダーシロップは、10gのラベンダーと10gの甘蔗糖をお湯に加えて20時間ゆっくりと過熱したもの。
- プレゼン開始時に0.5 gのブッシュカンの皮をラベンダーシロップに浸漬させ、マグネチックスターラーで撹拌させる。
- ブッシュカンの皮はレモン、ライム、ベルガモットの風味がある。
- フィルターでこしてから使用。
シグネチャービバレッジの工程
- 材料1,2とエスプレッソを混ぜ合わせる。
- 窒素充填機で窒素を注入し、クリーミーな質感を加える。
→新しいフレーバー(シナモンとブラッドオレンジ)が生み出される。 - 30℃で提供。
→一番風味がひらく温度。
フレーバー
- シナモンのアロマ
- 1口目:シナモン、ラベンダー
- 2口目:ブラッドオレンジ
インストラクション
- 1口目は素早く飲むこと。
- 2口は飲むこと。
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