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2017年のワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC) にて3位に入賞した香港代表カポ・チウ(Kapo Chiu)バリスタのプレゼンテーションを紹介します。
カポ・チウ バリスタは、ザ・カッピングルーム(The Cupping Room)のオーナーです。WBCに競技者として出場されるのは3回目で、WBC2013は15位、WBC2014は2位、そして今年のWBC2017は3位となりました。その他の年はコーチとしてWBCに関わられていました。
日本に親しいようで、サロンの代わりに合気道の袴を履いてプレゼンテーションに挑んでいます。
プレゼンテーションの中でも鈴木樹バリスタ、石谷貴之バリスタのお名前を出したりして敬意を示されています。また、シグネシャービバレッジのアイデアも日本のティーミクソロジーバーでヒントを得たと語られています。
カポ・チウ バリスタはエチオピアのゲシャビレッジのゲイシャ種を使用し、コーヒーそのものにフォーカスしたプレゼンテーションを行っています。
シグネシャービバレッジではジンベースのカクテルのようなドリンクを提供しています。
WBC 2017, 3位 – カポ・チウバリスタのプレゼンテーション概要
使用コーヒー:エチオピア・ゲシャビレッジ
- 国:エチオピア
- 農園名:ゲシャビレッジ
- プロセス:ウォッシュト
- 品種:ゲイシャ
- 農園主:レイチェル&アダム・オーヴァトン氏
- 標高:1900-2100m
エチオピア・ゲシャビレッジについて
- 野生のゴリ・ゲシャのコーヒーノキが生息している、ゲイシャ種発祥の地。
- とても有名になっているパナマのゲイシャ種は、ゴリ・ゲシャの森から採取されたもので、その原産のため風味が似ている。
- コーヒーは温度管理されたシェードの下で、ミュシラージがついたまま3週間乾燥され、その間定期的にコーヒー豆をひっくり返して均一な発酵を保たれている。
→フレーバーが甘く、トロピカルフルーツのようになる。
- 酸味は、トロピカル、シトラスで複雑。これはマイクロクライメイトからくるもの。農園は、標高1900-2100mに位置し、昼は20℃、夜は涼しい9℃の気温差からトロピカル、シトラスの複雑な酸味が形成される。
- 種子を果実とともに長い間置くことで、タクタイルがシルキー、エレガント、ミディアムウェイト、クリーンな後味になる。
焙煎について
- この生豆に潜在する甘み、フローラルなアロマを活かすよう、1ハゼ発生段階の軽めの焙煎で仕上げた。
WBC 2017, 3位 – カポ・チウバリスタのプレゼンテーションの流れ
- 最初にカプチーノ用のエスプレッソとシグネシャービバレッジ用のエスプレッソを2ショット分抽出する
- 次にエスプレッソコース用のエスプレッソとシグネシャービバレッジ用のエスプレッソを2ショット分抽出する
- エスプレッソコース
- ミルクビバレッジ
- シグネシャービバレッジ
エスプレッソコース
レシピ
- 粉量:20g
- 抽出量:45g (流量:3g/秒)
→シルキーなテクスチャー、フローラルアロマ、シトラスの酸と甘みを引き出せる。
- 抽出温度:93度
→複雑な酸味とともに甘みを引き出すことができるポイント。
アロマ
- 砂糖漬けにしたマンゴー
- オレンジの花の蜜
フレーバー
- 1口目:マンゴー
- 2口目:パッションフルーツ、ホワイトグレープ
- 3口目:白ワインのフィニッシュ
- タクタイル:ミディアムボディ、シルキーな質感、甘くてクリーンなフィニッシュ
ミルクビバレッジ
レシピ
- 粉量:20.5g
- 抽出量:40g
- エスプレッソ:ミルク比率=1:4
フレーバー
- バニラ
- パッションフルーツ
- キャラメル
- スペシャルティコーヒーのカプチーノは、甘くてクリーミーなドリンクなだけでない。
- エスプレッソコースのときより少しだけ抽出量を減らすことによって、酸味をより引き出し、ミルクとのシナジーが楽しめる。
- 使用しているミルクは、鈴木樹バリスタ、石谷貴之バリスタが日本から持ってきてくれた脂肪分6%のものを使用。甘みがあり、透明性が高く、少し重みのあるテクスチャーで、パッションフルーツのフレーバーと相まって、素晴らしいクリーミーなマウスフィールとなる。
シグネシャービバレッジ
テーマ
- ジンベースのカクテルの一種であるジン・フィズをイメージ。
- エチオピア・ゲシャビレッジのフローラルなアロマ、シルキーな質感と甘み、そして高い標高のマイクロクライメイトからくるトロピカル、シトラスの複雑な酸味を引き出す。
エスプレッソ 4ショット
- レシピはエスプレッソコースと同じもの。
- プレゼン開始直後に抽出し、冷却しておいたもの。
材料1:シードリップスパイス 10 g
- シードリップ(Seedlip)はノンアルコールのスピリッツのこと。
- 今回使用のものは、オールスパイス、カルダモン、レモン、グレープフルーツの皮を原材料に用いて蒸留したもの。
- シードリップスパイスは、クリーンでシトラスの酸と、ハーブ系の風味を持つ。
- シードリップスパイスのクリーンでシトラスの酸は、ゲシャビレッジのコーヒーが持つトロピカル、シトラスの複雑な酸味と相性がよく、シードリップスパイスのハーブ系の風味は、アロマを引き立てる。
材料2:ノンアルコールのウイスキー樽で熟成されたハチミツ 20 g
- グレープ、ワインのフレーバー。
- エチオピア・ゲシャビレッジのコーヒーの実の風味も同様の風味を持っている。
材料3:キサンタンガム溶液 10 g
- キサンタンガム溶液は増粘剤。
- キサンタンガム:水=1g:100gの比率で作成。
- フレーバーを加えることなく、シルキーな質感をもたらすことができる。
材料4:フランス産のアールグレイウーロン茶
- 茶葉:お湯=1:10の比率で90度の温度で2分間抽出したもの。
- ライラックのようなフローラルなアロマがあり、ゲシャビレッジのゲシャ1931の花のアロマと似ている。
材料5:ドライアイス
- あらかじめ容器にドライアイスをいれておく。
工程
- 材料1,2,3を混ぜる。
- フィルターで濾しながらウイスキーボトルに移す。
- 材料4(フランス産のアールグレイウーロン茶)を材料5(ドライアイス)の入った容器に注ぐ。
- 噴出孔付きのふたをして、アロマ(ドライアイスの気体)を噴出させる。
- ウイスキーボトルにアロマを3秒間注入する。
- ふたをして、3秒間上下に振って、アロマをドリンクになじませる。
- 球体の氷の入ったグラスへ注ぐ。
→フランス産のアールグレイウーロン茶のライラックのアロマとシードリップスパイスのハーブのアロマが融合し、ゼラニウム(ゲラニウム)のようなアロマへと変化する。
フレーバー
- 1口目:アロマとエスプレッソの存在感を楽しむ。
2口目の前に、スワリングして混ぜ、少し氷を溶かせて薄める。
- 2口目:ビターオレンジ、グレープフルーツ、オレンジの花の蜜、タンジェリン
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