2016年ダブリンにて開催されたワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC) にて8位に入賞したオーストラリア代表ヒュー・ケリー(Hugh Kelly)バリスタのプレゼンテーションを紹介します。
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ヒュー・ケリーバリスタは、WBC2015の優勝者であるササ・セスティックバリスタが経営するオナ・コーヒー(ONA Coffee)の技術開発部に所属しバリスタトレーナーとしても活躍されています。
WBC2016では8位、WBC2017では5位となりました。
プレゼンテーションでは、コロンビア・エル・ミラドール・カスティーヨのプロセスの異なる2種類のコーヒー豆を使用しています。
バリスタ競技会用の希少な豆を選ぶこともできたけれども、カスティーヨという生産性に優れたコーヒーを紹介しています。適切な焙煎、バリスタの技術を組み合わせることでコーヒーの持つ素晴らしさをより明確にし、より多くの人にスペシャルティコーヒーをアクセス可能なものにしたいという思いをプレゼンテーションしています。
シグネシャービバレッジでは、フリーズドライピーチ、ココナッツシュガー、濃縮したブラックカラントのエッセンスと上記2種類のエスプレッソを使用して、カスティーヨの持つポテンシャルをさらに開花させています。
ワールドバリスタチャンピオンシップ2016, 8位 –
ヒュー・ケリー-プレゼン概要
使用コーヒー:コロンビア・エル・ミラドール・カスティーヨ
コロンビア・エル・ミラドール・カスティーヨの基本情報
- 国:コロンビア
- 地域:ウイラ
- 農園:エル・ミラドール(El Mirador)
- プロセス:ナチュラル(エスプレッソコース)、ドライオンツリー(樹上乾燥)のナチュラル(ミルクビバレッジ)
- 品種:カスティーヨ(Castillo、カスティージョ)
- 農園主:エルキン・グスマン(Elkin Guzman)
品種カスティーヨについて
- カスティーヨは、高い生産量、病気に強い品種で、生産者にとって育てやすい品種。
- 希少だから特別ではなく、その逆で生産性に優れている点が特別である。
- カスティーヨの選択したのは、素晴らしいコーヒーをより多く人にとって、アクセスしやすいものにしたかったため。
コロンビア・エル・ミラドールの取り組み
- 農園主のエルキン・グスマンは複数の品種の深い実験を行っている次世代の生産者。
- コロンビア・エル・ミラドール・カスティーヨのキーポイントは、ブリックス糖度によるピッキング。
- 通常赤くなったコーヒーチェリーを摘み取るが、その時点でのカスティーヨのブリックス(Brix)値は11%程度となり、赤い色の時点では低いブリックス値となる。
- 他の品種ではコーヒーチェリーなら木から落ちるレベルの、深い紫色の段階で摘み取ることで、ブリックス値が平均25%となり、弾けるようなシトラスの酸をもたらす。
- パルピング後、パーチメントをプラスチックバッグに入れて、冷凍保存する。
- 低温で時間をかけて発酵させることにより、パーチメント上に付着している糖から美しいアプリコットの風味をもたらす。
ドライオンツリーのナチュラルプロセスについて
- ミルクビバレッジとシグネチャービバレッジの一部で使用。
- コーヒーチェリーを木の枝についたまま乾燥させる。
- 乾燥の間も根から栄養分を吸収することができる。
焙煎について
- エスプレッソコースで使用するナチュラルプロセスのコーヒー豆は、焙煎時間は12分。
- ミルクビバレッジで使用するドライオンツリーのナチュラルプロセスは、他の条件を同じにして、焙煎時間14分に変更。
→糖のカラメル化が進み、ミルクと合わさることで、ホワイトチョコレートをもたらす。 - この焙煎により、ガスのリリースが大変長く続くため、大会の1か月前に焙煎したものを使用。
→ラズベリーマシュマロの風味をより明確に感じることができる。
ワールドバリスタチャンピオンシップ2016, 8位 –
ヒュー・ケリー-プレゼンの流れ
- シグネチャービバレッジ用のエスプレッソを抽出
- エスプレッソコース
- ミルクビバレッジ
- シグネシャービバレッジ
エスプレッソコース
エスプレッソコースのレシピ
- 粉量:20 g
- 抽出量:38 g
- ナチュラルプロセスのカスティーヨを使用。
エスプレッソコースのフレーバー/タクタイル
- アプリコット
- オレンジの花
- ミディアムウェイト
- シルキーマウスフィール
- 明るい酸のレッドカラント
エスプレッソコースのインストラクション
- 少なくとも3口は飲むこと。
ミルクビバレッジ
ミルクビバレッジのレシピ
- ドライオンツリーのナチュラルプロセスのカスティーヨを使用。
- ミルク量:115 g
- 脂肪分の低いフリージアンミルクを使用。(フリージアン(Friesian)はオランダ・フリースラント州の馬の品種)
ミルクビバレッジのフレーバー
- ラズベリーのマシュマロ
→ガスのリリースを考えて1ヵ月前に焙煎したものを使用することで、より明確なフレーバーを感じる。 - ホワイトチョコレート
→焙煎時間を14分に延長し、糖のカラメル化とミルクのコンビネーションからもたらされた風味
シグネシャービバレッジ
シグネチャービバレッジのコンセプト
- カスティーヨのような一般的なコーヒーでも、新しいプロセス、適切な焙煎、バリスタの技術を組み合わせることで素晴らしいコーヒーとなる。
- それぞれのコース引き出した魅力を統合させ、副材料と組み合わせることで、カスティーヨの持つポテンシャルをさらに開花させる。
エスプレッソ 6 ショット
- 4ショットはエスプレッソ用のコーヒー豆を使用。
- 2ショットはミルクビバレッジ用のコーヒー豆を使用。
材料1:フリーズドライピーチ 1g
- ピーチの酸がエスプレッソの持つアプリコットの風味を引き上げる。
材料2:ココナッツシュガー 1g
- バランスを整えるため。
材料3:ブラックカラントのエッセンス 4ml
- ブラックカラントのフレッシュジュースを凍らせる。
- 最初に溶けだす、高い濃度のナチュラルな糖分を抽出する。
- トップには氷が残る。
- 抽出して2時間でブリックス値が40%になる。正確な40%の濃度で抽出することで、エスプレッソの持つ鮮やかなラズベリーマシュマロをラズベリージャムへ変化させることができる。
シグネチャービバレッジの工程
- ミルクビバレッジ用のコーヒー2ショットは、抽出後アイスの上でクールダウンさせる。
→酸を引き上げ、より鮮やかなフレーバーをもたらす。 - エスプレッソ用のコーヒー4ショットは、材料1,2と混ぜ合わせて材料の成分を溶解させる。
- 上記と材料3を混ぜ合わせる。
- 溶けないアイスロックをブレンダーに隔離して入れて、ブレンドする。
シグネチャービバレッジのフレーバー
- 1口目:アプリコット、ドライレッドカラント、クリーミーなマウスフィール
- 2口目:ラズベリージャム
シグネチャービバレッジのインストラクション
- 1口目の前にスワリングすること。
- 2口目の前に少なくとも30秒は時間を置くこと。
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