2017年6月ブダペストで開催されたワールドブリュワーズカップ(World Brewers Cup) 2017で2位に入賞したオーストラリア代表サム・コラ氏(Sam Corra)のプレゼンテーションを紹介します。
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パナマ・フィンカ・デボラ農園のゲイシャ種を使用しています。
サム・コラ氏はONA Coffeeのヘッドロースターです。
普段お客様に直接コーヒーを提供するバリスタではないサム・コラ氏は、専門の焙煎についてプレゼンテーションすると考えられていました。
しかし、この大会に臨むにあたって、「素晴らしいコーヒー体験」を提供するためにどうすればよいのかを突き詰めて考えたそうです。その答えが、4つのキーポイントに集約されています。
2017 WBrC 準優勝 サム・コラ-プレゼンテーション概要
新しいプロセスで生産されたコーヒーを使用。
4つのキーポイント
- マイクロクライメット
- プロセス(精選処理)
- 抽出技術
- 抽出に使用する水
1.マイクロクライメット
- 使用コーヒー
- 農園主:ジェイミソン サベージ氏(Jamison Savage)
- 国:パナマ
- 農園:フィンカ・デボラ(Finca Deborah)(東パナマに位置するヴォルカン内の農園)
- 品種:ゲイシャ種
- マイクロクライメット:シネサ(Cinesa)
- プロセス:ホールチェリー・カーボニック・マセレーション
シネサは、フィンカ・デボラでみられる3つのマイクロクライメットのうちの1つ。
他のフィンカ・デボラには見られない独特な風味を有しているという。
シネサは、低い平均気温と高湿度を有し、それがゆっくりと成長させることにつながり、ジューシーなグレープ、アップルを感じさせる甘みと酸味をもたらす。
2.プロセス
新しいプロセスである、ホールチェリー・カーボニック・マセレーション・プロセス(whole cherry carbonic maceration Process)について説明。
- コーヒーチェリーをそのままステンレスの容器に入れる。(従来のコンクリートやタイルではないステンレスを使用)
- 蓋を閉めて二酸化炭素を注入。酸素を取り除く。圧力が加わる→発酵度合いのコントロールが可能になる。
- より際立つフレーバーと通常のウォッシュトには見られないより重厚感のある質感(深いプラム)をもたらす。
3.抽出技術
- HarioV60を使用。
→選定したコーヒー(ここではホールチェリーコーヒーと呼ぼう)に最も相応しいという理由。
- ホールチェリーコーヒーを少し粗挽きで20g
- 300gの水
- 湯温:93度
- 抽出時間:2分40秒
- 注ぐ回数:5回
- 粉が沈き切る前に注ぐ
→クリーンカップを保持しつつボディをもたらす。
4.調合したカスタムメイドの水
TDS(Total Dissolved Soli)は水中に溶解されている物質の濃度を表す。
ミネラルの量はわかるが、何がどう味に影響しているのかわからない。
そこを研究し、導き出したのが以下である。
38TDSの蒸留水をベースに以下を調合した。
- マグネシウム 110ppm
- カルシウム 40ppm
- 炭酸水素カリウム 15ppm
これらは、他の3つのキーポイントを強調させる役割を果たすという。
マグネシウムは、生き生きとしたグレープのフレーバーを損なうことなく甘いオレンジをもたらす。
カルシウムは、ブラックチェリー、プラム、重厚感のあるはちみつの甘みをもたらす。
炭酸水素カリウムは、酸味の調整とソフトでクリーミーな質感をもたらす。
サム・コラ氏の使用したコーヒーのプロセス「ホールチェリー・カーボニック・マセレーション・プロセス」は、世界大会ではまだ見受けられないものでした。
2015年WBC優勝者ONA coffeeのオーナーであるササ・セスティック氏のプレゼンテーションを彷彿させる名前です。
2015年WBCササ・セスティック氏が紹介したプロセス、ウォッシュト・カーボニック・マセレーション・プロセス(Washed Carbonic Maceration Process)は以下のような手順でした。
- パーチメントをステンレスの容器に入れる。(従来のコンクリートやタイルではないステンレスを使用)
- 蓋を閉めて二酸化炭素を注入。圧力が加わる→全てのフレーバーとアロマが発酵過程で浸透。
- 湿度と温度の管理→鮮やかさとスパークリングな柑橘系の酸味をもたらす。
今回のプロセスでは、「パーチメント」部分を「ホールチェリー」に変えたプロセスのようです。
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