2017年のワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC) にて7位に入賞したマレーシア代表ジェイソン・ルー(Jason Loo)バリスタのプレゼンテーションを紹介します。
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ジェイソン・ルー バリスタは、マレーシアのイエローブリックロードカフェ(Yellow Brick Road Cafe)に勤めています。
過去にWBC2015に出場したときの成績は27位でした。WBC2017では7位と急上昇しています。
プレゼンテーションでは、コロンビア・フィンカ・エル・トラピチェ農園のゲイシャ種を使用し、テロワール、ハニープロセスからもたらされるアロマ、甘み、テクスチャーを引き出すため、2種類のローストプロファイルのコーヒー豆をブレンドしています。
シグネシャービバレッジでは、改良したサイフォンを使用して、透明のコーヒー「クリアコーヒー」を作成し、副材料として使用しています。
WBC 2017, 7位 – ジェイソン・ルー-プレゼン概要
使用コーヒー:コロンビア・フィンカ・エル・トラピチェ
- 国:コロンビア
- 農園:フィンカ・エル・トラピチェ
- 生産者:ピーターソンファミリー
- プロセス:ハニー
- 品種:ゲイシャ
- 標高:1950m
- 焙煎:アーティザン・ロースタリー(Artisan Roastery)
フィンカ・エル・トラピチェ農園のテロワール
- フィンカ・エル・トラピチェ農園は、活発な火山からわずか15マイル(約24km)の場所に位置している。
- 火山性土壌は高いマグネシウムを含有しており、コーヒーにボディとテクスチャーをもたらす。
ハニープロセス
- 農園に訪れたときに、何種類か異なるプロセスのコーヒーをカッピングし、とりわけ美しいアロマを持っていたボールが一つあった。それがハニープロセスだった。
- ハニープロセスは、パルピング後、70%のミュシラージを残し、管理されたグリーンルームにて乾燥させる。
- 高い標高のため、夜は涼しくなり、コーヒーの実はゆっくりと熟していく。
→甘みをもたらす。 - 深い赤色の最も完熟したコーヒーの実のみを摘み取る。
→ゲイシャの持つ全ての甘みをもたらす。 - 1時間置きにかき混ぜ、2センチの厚さに揃えて乾燥させる。
→クラリティをもたらす。
2種類のローストプロファイルのコーヒー豆をブレンド
素晴らしいアロマともに、フィンカ・エル・トラピチェ農園のもつ甘みを失わないために、2種類のローストプロファイルのコーヒー豆をブレンド。
- 15%はアロマにフォーカスしたローストプロファイル
- 85%の甘味とテクスチャーにフォーカスしたローストプロファイル
→ブレンドすることで全ての美しいフレーバーを引き出すことができる。
WBC 2017, 7位 – ジェイソン・ルー -プレゼン流れ
- シグネシャービバレッジ用のエスプレッソ抽出
- エスプレッソコース
- ミルクビバレッジ
- シグネシャービバレッジ
エスプレッソコース
フレーバー/タクタイル
- シトラスの酸
- 熟したオレンジ
- ネクタリン
- 甘蔗糖
- ハニー
- ジューシーなテクスチャー
- ミディアムボディ
- クリーンフィニッシュ
ミルクビバレッジ
レシピ
東京都多摩市から取り寄せた3.9%の高い脂肪分のミルクを使用。
ミルクは少量生産バッチのもので、30の異なる独立した農家から取り寄せ、品質と濃度が評価されたもの。→ソフトでクリーミーな質感をもたらす。
- エスプレッソ:ミルク=1:4
- 総量:100 ml
→濃厚さと甘さをもたらし、エスプレッソとこのミルクでちょうどよいバランスとなる。
フレーバー
- オレンジクリーム
- 香港ミルクティー
- マジパン
シグネシャービバレッジ
コンセプト
コロンビア・フィンカ・エル・トラピチェ農園に行って経験したことをシェアし、その経験からインスパイアされたドリンク。
エスプレッソ
プレゼン序盤に抽出し、冷却しておく。
材料1:さとうきびを用いたシロップ 15g
- コロンビア・フィンカ・エル・トラピチェ農園の場所は元々はサトウキビ工場だった。トラピチェ(Trapiche)はスペイン語でサトウキビ工場の意味。
- さとうきびは、コロンビア・フィンカ・エル・トラピチェ農園からとれたもの。
- さとうきび:水=1:1で希釈したもの。
→甘みを引き上げ、フレーバーの層を作る。
材料2:シンプルシロップにカカオニブエキスを抽出したもの 10ml
- ライトローストの焙煎したてのカカオニブ 4gとシンプルシロップ25mlを使用。
- 使用直前に混ぜ合わせてすり潰す。
- ステンレスのザルで濾す。
- アロマ、フレーバー、カカオニブの皮の酸をシンプルシロップに抽出する。
→エスプレッソコース、ミルクベバレッジで感じたフレーバーを補う。
材料3:オレンジソース 15g
- 150gのオレンジジュースを20分間減水させたもの。
- タンニンの酸とシトラスの甘みを加える。
- さらにその他の副材料とエスプレッソを繋ぎ合わせる役割をもつ。
材料4:「クリアコーヒー」 10ml
- コロンビア・フィンカ・エル・トラピチェ農園のコーヒー20gと120mlの水を使用。
- 改質されたサイフォンにコーヒー粉と水を入れ、プレゼンテーション序盤から煮沸させ続ける。
- 最上部にたくさんの氷を入れたボールを置き、揮発された蒸気を急冷して真ん中にセットした容器に水分を溜めていく。
- コロンビア・フィンカ・エル・トラピチェ農園のコーヒーのアロマとフレーバーを閉じ込めた透明のコーヒーとなる。
- 「クリアコーヒー」と呼んでいる。
→長く続くアフターテイストをもたらす
シグネチャービバレッジの工程
エスプレッソに材料1,2,3,4を順に追加していく。
フレーバー
- マンダリンオレンジ
- ブラックプラム
- ベーカーズチョコレート
- マヌカハニー
- シロップのような質感
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