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2017年のワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC) にて6位に入賞したアメリカ代表カイル・ラメージ(Kyle Ramage)バリスタのプレゼンテーションを紹介します。
カイル・ラメージバリスタは、2017年のアメリカのバリスタ大会(USBC)の後、マルコニックUSAを退職し、ブラック&ホワイトコーヒー(Black & White Coffee)を立ち上げました。
今回のプレゼンテーションでは、3種類の異なるプロセスで処理された、パナマ・フィンカ・ヌグオ農園のゲイシャ種のコーヒー豆を使用しています。
シグネシャービバレッジでは、ビールをイメージしたようなドリンクを作成しています。
WBC 2017, 6位 – カイル・ラメージ-プレゼン概要
プロセスの異なる3種類のコーヒーをドリンクごとに使用。
使用コーヒー:パナマ・フィンカ・ヌグオ・ゲイシャ
同じ農園のもので、3種類の異なるプロセスのコーヒー豆を使用。
- 国:パナマ
- 地域:チリキ県フルトゥンゴ
- 農園:フィンカ・ヌグオ(Finca Nuguo)カサ(Casa)とコルブレ(Colubre)
- 品種:ゲイシャ
- 標高:1850m
- 生産者:ホセ・マニュエル・ガヤルド(José Manuel Gallardo)
- プロセス:3種類
1. ハニープロセス(カサ・ポーション)→エスプレッソコースで使用
- 明るい赤色のコーヒーチェリーを摘み取り、果肉除去、洗浄を経て、アフリカンベッドで12~14日間乾燥される。
- 2年前、生産者ホセ・マニュエル・ガヤルドは、湿度・温度を徹底管理できる乾燥室を開発した。
- 発酵時間と発酵温度を徹底的にコントロールした。
→それぞれのコーヒーチェリー・種子に一貫性のあるフルーツの風味、甘みを濃縮できた。
2. ナチュラルプロセス(カサ・ポーション)→ミルクビバレッジで使用
- ナチュラルプロセスでは、ほんの少しだけ黄色の部分の残っているチェリーを摘み取ることで、ナチュラルプロセスではなくなりがちな酸の存在するコーヒーとなった。
→フルーツの風味、極めて甘みのあるコーヒーとなる。
3. 実験的なウォッシュト(コルブレ・ポーション)→シグネチャービバレッジで使用
- シグネシャービバレッジ用の特別なロット。
- 標高:1980mのもののみを摘み取り、パルピングし、12時間乾燥発酵を行い、洗浄を2回行う。
→最もクリーンで、クラシックな生き生きとしたゲイシャ種のフレーバー(白い花、核果、シトラス)をもたらす。
クリストファー・ヘンドン博士の研究について
- 2年前クリストファー・ヘンドン博士が発表した、スペシャルティコーヒーを凍らせてから挽くことによるフレーバーの影響について説明。
- コーヒー豆をおよそ-79度(ドライアイスの温度)で冷やすことで、物理的にグラインドプロセスに影響するようになる。
- 豆を凍らせて挽いたコーヒー粉の粒度分布図が凍らせていないものに比べて、幅の狭い高い山になる。
- それは、粒度がより均一に揃っていることを示す。
- カップにするとクリーンさ、甘み、バランスが向上する。
→全てのコースのコーヒー豆をドライアイスで-79度まで冷やして使用する。
WBC 2017, 6位 – カイル・ラメッジ-プレゼンの流れ
- エスプレッソコース
- ミルクビバレッジ
- シグネチャービバレッジ
エスプレッソ
ハニープロセスのコーヒー豆を使用。
フレーバー
- ジャスミンのような白い花
- ライムのような新鮮なシトラス
- チェリーのような核果類の果実
- 白い花の蜜のようなミディアム程度の甘み
タクタイル
- ライトからミディアムボディ
- シルキー
- 心地よいトニックのようなロングフィニッシュ
インストラクション
- 12回かき混ぜること。
→温度が下がり、一番フレーバーを感じるポイントとなる。
ミルクビバレッジ
ナチュラルプロセスのコーヒー豆を使用。
フレーバー
- ラズベリージャム
- デーツ(ナツメヤシの実)のような甘み
- チョコレートでフィニッシュ
シグネチャービバレッジ
材料1:エスプレッソ 120 ml
- ウォッシュトのコーヒー豆を使用。
材料2:モザイクホップティー 35 ml
- モザイク(Mosaic)はホップの品種。
- インディア・ペールエール(エールビールの一種、英語:India Pale Ale; IPA)の醸造で使用され、極めてフローラルで複雑さとシトラスをもたらす。
- エスプレッソの持つ白い花のアロマと一緒になることでベルガモットのフレーバーが生まれる。
材料3:ダークハニーシンプルシロップ 12 ml
- ノースカロライナ州のもの。
- エスプレッソで感じたハニーとは違うもの。
- ボディを引き上げ、タクタイルバランスを整える。
材料4:酒石酸溶液 30 ml
- 通常はコーヒーに関連しているものではなく、グレープに含まれている有機化合物。
- 核果類の果実の風味とのコンビネーションでエキゾチックなフレーバーへと変化する。
材料5:窒素
- テクスチャーを向上させる。
- ホップの濃厚なフレーバーを緩和する。
- バランスがよくなる。
シグネシャービバレッジの工程
- 窒素充填が可能なディスペンサーをドライアイス温度で冷やしておく。
→ドリンクは冷たすぎない、クールダウンされた程度の温度になる。
- ディスペンサーに材料1,2,3,4を入れる。
- 材料5を注入し、振って混ぜる。
- 少なくとも2回に分けてグラスに注ぐ。
- 2回目は注意深く注ぎ、液体部分とフォーム部分のバランスを整える。
→濃厚なアロマが感じられるようになる。
フレーバー/タクタイル
- 濃厚なベルガモットアロマ
- パッションフルーツ
- ライムゼスト
- トニックのようなロングフィニッシュ
- 酸はミディアムからハイ
ブラック&ホワイトコーヒーについて
ブラック&ホワイトコーヒー(Black & White Coffee)は、今年2017年に元カウンター・カルチャー・コーヒーのレム・バトラーバリスタと元マルコニックUSのカイル・ラメージバリスタによって立ち上げられ、生豆の買い付け、焙煎、卸、カフェ経営まで行うロースターです。
カイル・ラメージバリスタは、アメリカ国内大会(USBC)のときはマルコニックUSAに勤務していました。しかし、大会優勝後に当時コンサルしていたバックアレイコーヒーロースターズ(Back Alley Coffee Roasters)より、焙煎施設と2つのカフェを買い取る機会に恵まれ、前年のUSBCチャンピオンのレム・バトラー(Lem Butler)バリスタとともにブラック&ホワイトコーヒーを立ち上げました。
2017年4月23日に実施されたUSBCファイナルラウンドから、同年11月9日に始まったWBC2017までの約6.5か月の間に、新ビジネスの立ち上げとプレゼンテーションの練習をこなしたことになります。
2016年にレム・バトラーバリスタをコーチしたのが、カイル・ラメージバリスタで、2017年にカイル・ラメージバリスタをコーチしたのが、レム・バトラーバリスタという関係です。
BARISTA MAGAZINE ONLINEによると、二人は昔からバリスタの大会を通じて知り合いだったようですが、特に2016年から深い仲になり、ビジネスを始めるまでになったそうです。
また、元々のバックアレイコーヒーロースターズのオーナーの息子さんを従業員として雇い入れたようです。
ブラック&ホワイトコーヒーには夢があって、ハートフルなつながりを感じられます。今後の展開を注目したいところです。
パナマ・フィンカ・ヌグオ農園の動画
以下のvimeoの動画で、パナマ・フィンカ・ヌグオ農園の素晴らしい農園風景と、処理工程の様子が確認できます。
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