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2017年のワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC) にて4位に入賞したカナダ代表、ベン・プット(Ben Put) バリスタのプレゼンテーションを紹介します。
ベン・プットバリスタは、カナダのカルガリーにあるモノグラムコーヒー(Monogram Coffee)創設者のひとりです。
カナダ国内のバリスタ大会において、2010年から2012年まで2位、その翌年の2013年から今年2017年までずっと1位という驚異的な成績の持ち主です。
WBCの成績は、2014年11位、2015年3位、2016年3位、そして今年2017年は4位でした。
ベン・プットバリスタはWBC 2017では、ナインティプラス社のパナマ・ゲイシャエステートのウォッシュトと新しい発酵プロセスを用いたナチュラルのコーヒーを使用しています。
このナチュラルのコーヒーは、JBC2017で準優勝したサザコーヒーの本間啓介バリスタが使用した「ホセ・アルフレド・プロセス」のコーヒー豆と同じものか疑問に思ったので確認したところ、ナインティプラス社のジョセフ・ブロドスキー氏とスティーブ・ホルト氏がわざわざご回答くださいました。ありがとうございました。
ベン・プットバリスタが使用したナチュラルのコーヒーは「ホセ・アルフレド・プロセス」のコーヒーで、ロット違いのロットNo.236のものだそうです。
ナインティプラス社のロットNo.236は、あのコーヒーレジェンド・ジョージ・ハウエル氏にも最近特集されているくらい大注目のコーヒーです。
今回のプレゼンテーションでは、ミルクを真新しい方法でコンデンスミルクのような甘みを出す方法”ミルクのフリーズディスティレーション(凍結蒸留・凍結濃縮法)“を紹介しています。また、クルーブシフター(KRUVE Sifter)で微粉ではなく大きすぎる粉の方を取り除くなど、独自の観点から数多くのアイデアをシェアしています。
最後のシグネシャービバレッジでは、ナインティプラス社の素晴らしいプロセスを通したゲイシャ種がもたらした全てのフレーバーを楽しめるドリンクを提供しています。時間とともに表情の変わるドリンクです。
ワールドバリスタチャンピオンシップ 2017, 4位
ベン・プット-プレゼン概要
使用コーヒー
プロセスのみ異なる2種類のコーヒーを使用。
ナインティプラス社・ボルカン・パナマ・ゲイシャエステート
- 国:パナマ
- 地域:ボルカン地区
- 農園主:ナインティプラス社
- 農園名:ゲイシャエステート
- 品種:ゲイシャ
- 標高:1,700 m
プロセス①:ウォッシュト ロット#209
- エスプレッソコース、シグネチャービバレッジで使用
- EK43
- クラシックなゲイシャフレーバー
- クルーブシフター(KRUVE Sifter)で濾してから使用
プロセス②:実験的なナチュラルプロセス(ホセ・アルフレド・プロセス) ロット#236
- ミルク・シグネチャービバレッジで使用
- K30 Vario Air
- 全く新しいエキゾチックなゲイシャ種のフレーバー
実験的なナチュラルプロセス(ホセ・アルフレド・プロセス)について
- ナインティプラス社はゲイシャを育て新しいフレーバープロファイルを得るために、新しいプロセスを追い求めている。
- ナインティプラス社は、実験的なナチュラルプロセスを取り入れた。
- 実験的なナチュラルプロセスを考案したのは、ホセ・アルフレド氏。(以下ホセ・アルフレド・プロセスと呼ぶ)
- 暖かい温度で自然に存在する菌を採取し、チェリーに付着させて発酵させたもの。
ワールドバリスタチャンピオンシップ 2017, 4位
ベン・プット-プレゼンの流れ
- エスプレッソコース(シグネチャービバレッジ用のホセ・アルフレド・プロセスのエスプレッソを抽出しておく。)
- シグネチャービバレッジ用のホセ・アルフレド・プロセスのエスプレッソを副材料と混ぜ合わせる。
- カプチーノ(シグネチャービバレッジ用ウォッシュトコーヒーもエスプレッソ抽出する。)
- シグネチャービバレッジ
エスプレッソコース
- ナインティプラス・パナマ・ゲイシャのウォッシュト・ロット#209を使用。
→フレーバーの明確さとバランスの良さがあるため、ウォッシュトのコーヒーをエスプレッソコースで使用する。
- 大きめの粉を取り除くため、コーヒーの粉をクルーブシフター(KRUVE Sifter)で濾す。
- 大き目の粉は、ネガティブな酸の原因となる。取り除くことで、抽出効率を上げるとともに、バランス向上につながる。
アロマ
- オレンジの花
エスプレッソコースのフレーバー/タクタイル
- オレンジの花
- ルビーグレープフルーツ
- 甘蔗(かんしょ)糖
- デーツ
- ミディアムウェイト
- シルキー
- スムース
- 後味にアップルの皮
ミルクビバレッジ
ナインティプラス・パナマ・ゲイシャのホセ・アルフレド・プロセス・ロット#236を使用。
ミルクビバレッジのフレーバー
- バナナ
- トリュフチョコレート
- チェリーリキュール
- アイリッシュクリーム
ミルクのフリーズディスティレーション(凍結蒸留・凍結濃縮法)について
- ミルクの脂肪分ではなくミルクの糖分が、ミルクビバレッジを作る際のキーポイントと考える。
- ミルクの凍結濃縮分離法を考案。
- ミルク本来の糖度が上がり、非常に糖度の高いミルクとなる。
- 糖度が高いため、ミルクビバレッジの容量を小さくすることで濃度が高くバランスの良いミルクビバレッジになる。
ミルクのフリーズディスティレーション(凍結蒸留・凍結濃縮法)のステップ
- ミルクを用意する。
- ミルクを凍らせる。
- 凍ったミルクをフィルターにのせ、溶けるのを待つ。
- タンパク質、脂肪分、糖分が最初に溶け始める。
- 残った氷(水分)は破棄する。
シグネシャービバレッジ
- ナインティプラス社の素晴らしいプロセスを通したゲイシャ種がもたらした全てのフレーバーを楽しめるドリンクを提供。
- 最初にクラシックなゲイシャ種のフレーバー、次に全く新しいエキゾチックなゲイシャ種のフレーバーを感じるドリンク。
シグネシャービバレッジの材料
- ホセ・アルフレド・プロセスのエスプレッソ 2ショット
- ウォッシュトのエスプレッソ 2ショット
- グレープフルーツトニック 合計20 g
- グレープフルーツと甘蔗糖、キナの樹皮と水で煮たもの。
- キナの樹脂には、キニーネが含まれており、これがトニックウォーターのメインのフレーバーとして働く。
- ローズウォーター 合計60 g
- 水:ローズ=300:1で抽出したもの。
- バラはシングルエステートの単一品種のロサ・ガリカを選択。クラシックなローズのフレーバーがある。
- ホセ・アルフレド・プロセスにも白い花のフレーバーがある。
シグネシャービバレッジの工程
- ホセ・アルフレド・プロセスのエスプレッソ 2ショットをエスプレッソコース終了時にグレープフルーツトニック10 gとローズウォーター30 gを加え、グラスに移す。
- 液体窒素をグラスに注ぎ、凍らせる。
- ウォッシュトのエスプレッソ 2ショットにも同じ材料(グレープフルーツトニック10 gとローズウォーター30 g)を入れる。
- 別の小さなグラスに注ぐ。
ジャッジへのインストラクション
- 別添えにしたウォッシュトの小さなグラスを凍ったホセ・アルフレド・プロセスのグラスへ注ぐ。
- すぐに一口目を確認する。
- 両手で持って、スワリングを繰り返して溶かす。(2分程度かかることがある。)
- 溶けたら二口目を確認する。
シグネシャービバレッジのフレーバー
- 一口目:ウォッシュトからくるもので、クラシックなゲイシャフレーバー。オレンジの花、コーヒーの花のような白い花、マンダリン、甘蔗糖
→グレープフルーツトニックとローズウォーターとウォッシュトのコーヒーが混ざり合うことで、クラシックなゲイシャフレーバーが引き立てられる。
- 二口目:新しいエキゾチックなゲイシャの特徴あるフレーバー。赤ワイン、バラの花束、オーク樽発酵の赤ワイン、グレープフルーツ、チェリーリキュール
→グレープフルーツトニックとローズウォーターとホセ・アルフレド・プロセスのコーヒーが混ざり合うことで、新しいエキゾチックなゲイシャの特徴をもたらす。
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JBC 2017準優勝、サザコーヒーの本間啓介バリスタのプレゼンテーション
ベン・プット|2016年ワールドバリスタチャンピオンシップ3位プレゼン
ベン・プット|2015年ワールドバリスタチャンピオンシップ3位プレゼン
ベン・プット|2014年ワールドバリスタチャンピオンシップ11位プレゼン
ミルクの凍結濃縮分離を使用したプレゼン
- 優勝韓国代表Jooyeon Jeon|ワールドバリスタチャンピオンシップ2019
- 3位カナダ代表Cole Torode|ワールドバリスタチャンピオンシップ2019
- 4位インドネシア代表Mikael Jasin|ワールドバリスタチャンピオンシップ2019
- 5位ドイツ代表Wojtek Bialczak|ワールドバリスタチャンピオンシップ2019
- 6位スイス代表Mathieu Theis|ワールドバリスタチャンピオンシップ2019
- 10位イタリア代表GIACOMO VANNELLI|ワールドバリスタチャンピオンシップ2019
- 12位ニュージーランド代表DOVE CHEN|ワールドバリスタチャンピオンシップ2019
- 14位ブラジル代表MARTHA GRILL|ワールドバリスタチャンピオンシップ2019
- 山本知子|ワールドバリスタチャンピオンシップ2019プレゼン
- マシュー・タイス|ワールドバリスタチャンピオンシップ2018-3位プレゼン
- ワールドバリスタチャンピオンシップ2018-5位カナダ代表コール・トロ-ド
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