2017年韓国ソウルにて開催されたワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)にて9位に入賞した韓国代表バン・ジュンベ(JUN-BAE BANG)バリスタのプレゼンテーションを紹介します。
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バン・ジュンベ バリスタは、アンドレア・プラス・コーヒー・ラボ(Andrea Plus Coffee Lab)で品質管理、研修、技術開発部門で働かれています。
使用したコーヒー豆は、WBC 2015の優勝者ササ・セスティック氏と同じ農園のもので、バン・ジュンベ バリスタは、コロンビア・ラス・ヌベス農園のユーゲニオイデスという異なる品種のコーヒー豆を使用しています。
プレゼンテーションの中で、グラインド前にコーヒー豆をカットする手法を考案しています。また、ラス・ヌベス農園のユーゲニオイデスのドライイングプロセスからくるユニークで幾層にも重なったフレーバーを引き出すことにフォーカスしたプレゼンテーションを行っています。
WBC 2017, 9位 – バン・ジュンベ|プレゼン概要
使用コーヒー:コロンビア・ラス・ヌベス・ユーゲニオイデス
ラス・ヌベス・ユーゲニオイデスの基本情報
- 国:コロンビア
- 地域:バジェ・デル・カウカ県
- 農園名:ラス・ヌベス(Las Nubes)
- プロセス:ナチュラル
- 品種:ユーゲニオイデス(Eugenioides)
- 農園主:カミロ・メリサルデ(Camilo Merizalde)
- 標高:1900-2000m
- 農園主のカミロ・メリサルデ氏は、革新的な方法でユニークなフレーバーを持つコーヒーを生産している。例として、WBC2015優勝ササ・セスティックが使用したスダンルメなど。
- ユーゲニオイデスは生産量が少なく、それぞれのコーヒーノキから300gのコーヒー豆しか取れない。
ベストなスペシャルティコーヒーについて
- ベストなスペシャルティコーヒーは、アロマ、酸、甘みの素晴らしいコンビネーションによって作られる幾層にも重なったフレーバーを持つコーヒー。
- カップでそれを表現するとき、異なるフレーバーのハーモニーが最も重要になる。
- それは、全てのフレーバーがしっかりと引き出されているときにのみ可能となる。
複雑なフレーバーをもつコーヒーは、一貫した品質にすることが難しい
- 複雑なフレーバーをもつコーヒーは、一貫した品質にすることが難しく、異なるフレーバーが出やすい。
- コーヒー豆の中の高い圧力が原因。
- コーヒーを焙煎後長く放置すると、抽出は安定する。しかし、フレーバーを失う。
- それぞれのコーヒー豆の中の圧力を変更する方法を考案。そして、フレーバーのロスを最小化する。
- 高い圧力は、コーヒーの持つ複数の層からなるフレーバーを抽出できなくする。
コーヒー豆をグラインド前にカット
- グラインドする前にコーヒー豆をカットすることを考案。
- コーヒー豆をカットすることで、グラインダーのバーと接触する表面積がより広がる。
- 甘みを増加させ、クリーミーな質感をもたらす。
- さらにEK43グラインダーを使用することで、粒子が均一になり、シトラスのフレーバーと甘さをもたらす。
ドライイングプロセスについて
- クラシックなナチュラルプロセスのフレーバーと全く異なる風味となるキーポイントはドライイングプロセス
- 別々のアフリカンベッドで昼夜注意深く管理される。
- 湿度と温度を毎日計測する。
- 3つの層のアフリカンベッドがあり、豆の乾燥状態によって配置換えする。
- 欠点豆も取り除かれる。
→緑茶のフレーバー、レッドグレープの酸、さとうきびの甘みをもたらす。
WBC 2017, 9位 – バン・ジュンベ|プレゼンの流れ
エスプレッソコース
レシピ
- 粉量:20 g
- 抽出量:35 g
アロマ
- 緑茶
- ジャスミン
フレーバー
- 熟したレッドグレープ
- 酸:ミディアム – レッドグレープ、シトラス
- 甘み:アガベシロップの甘み、チミツに保存されたナッツ
- ミディアムボディ
- クリーミーなテクスチャ
- クリーンアフターテイスト
- ロービタネス
ミルクビバレッジ
ドライイングプロセスからくる濃厚な甘みが特徴。
レシピ
- ミルク温度:55度
フレーバー
- 一口目:メープルシロップ
- 二口目:アガベシロップのフレーバーはシルキーなフォームと合わさり、バターのようなフレーバーとバニラのような甘みへと変化。
- 1cmのフォームはカスタードクリームのようなテクスチャをもたらす。
シグネシャービバレッジ
コンセプト
ユニークなフレーバーをもたらすキーポイントであるドライイングプロセスをイメージ。
エスプレッソ
レシピ
- 粉量:20 g
- 抽出量:40 g
- エスプレッソコースの前に抽出し、氷水でコールダウンさせる。
材料1:緑茶エッセンス10g
- チェジュ産の緑茶の茶葉3gを冷たい水19gに2日間つけたもの。
- レッドグレープシロップ7g
- チェジュ産の緑茶は同様のドライイングプロセスを経ており、ラス・ヌベス・ユーゲニオイデの風味に最も適した材料。
材料2:ドライレッドグレープ・シラー 7g
- ほんの少し未熟なグレープの実、3層の乾燥用ベッドにて屋外で3日間乾燥させる。
- 1日ごとに異なる乾燥用ベッドへ配置替えする。
- 500gのドライグレープと50gのさとうきびを入れたシロップを使用。
- 未熟なグレープは高い酸を有しており、ドライプロセスで落ち着き、クリーンな酸となる。
材料3:ドライアイス
- アロマ(蒸気)はラス・ヌベス・ユーゲニオイデと同じもの。
- ソーサーにドライアイスを加え、蒸気を発生させる。
- グラスにアロマが注ぎ込まれる。
- 低い温度がハーモニーを奏でる最適温となる。
- エスプレッソと副材料を繋ぎ合わせる。
- テイストバランスが整う。
- 低温の時にエスプレッソの酸が際立つ。
シグネシャービバレッジの工程
- エスプレッソに材料1,2を入れる。
- 電動式の茶せんで泡立てる。
- とても細かく、クリーミーなフォームを形成する。
- フレーバがより感じやすくなる。
- 提供前に材料3で生成したアロマ(ドライアイスの蒸気)をグラスに注ぐ。
フレーバー/タクタイル
- 新鮮な緑茶
- ジャスミン
- アガベシロップの甘さ
- レーズン
- 緑色ブドウの酸度
- レッドグレープの風味が長く続く
- シルキーで湿った質感
インストラクション
- アロマを嗅ぐ。
- 5回スワリングする。
- 二回飲む。
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