2016年ダブリンにて開催されたワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC) にて10位に入賞したドイツ代表Roestbarのエルナ・トスベルグ(ERNA TOSBERG)バリスタのプレゼンテーションを紹介します。
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エルナ・トスベルグ バリスタは、コスタリカのナチュラルプロセス、品種はカツーラとカツアイ(カトゥアイ)の混合、ブラックユニコーンと呼ばれるコーヒー豆を使用しています。
ブラックユニコーンを特別にしているキーポイントとして、ナチュラルプロセスで「サウナ」という発酵工程をドライイングプロセスに採用しています。そのサウナのプロセスは、水を多く使用しないため環境的に良好なのと同時に、高いカップクオリティをもたらします。プレゼンテーションでは、この特殊なナチュラルプロセスに重点をおいています。
また、エスプレッソに感じるブルーベリーを用意して、蒸し器を使用し、サウナプロセスを実演しています。その実演により、どのようにサウナプロセスでコーヒーチェリーが「汗」をかくのかを表現しています。興味のある方は、ブラジルのフラビオ・ボレム(Flavio Borem)教授のYoutube動画が参考になります。
シグネシャービバレッジでは、発酵させたミルク、砂糖、塩、ブルーベリージュースを使用しています。サウナプロセスで生成される乳酸に重点を置き、ミルクビバレッジとは異なる新たな次元のシナジーを実現したコーヒードリンクを作成しています。
ワールドバリスタチャンピオンシップ2016, 10位 –
エルナ・トスベルグ -プレゼン概要
使用コーヒー:コスタリカ・ナチュラル・ブラックユニコーン
コスタリカ・ナチュラル・ブラックユニコーンの基本情報
- コーヒー名:ブラック・ユニコーン(the Black Unicorn)
- 国:コスタリカ
- 地域:セントラルバレイ(Central Valley)
- 農園:クンブレス・デル・ポアス(Cumbres del Poas)
- プロセス:ナチュラル
- 品種:カツーラ、カツアイ
- 標高:1300m~1500m
- エイジング:21日
ブラック・ユニコーンについて
- 1月中旬の収穫ピーク時に摘み取られたもの。
- 完熟した実のみを収穫し、ブリックス(Brix)値22%~24%のものを選別。
→素晴らしい甘みをもたらす。 - 摘み取られたチェリーを洗浄する。
→クリーンカップにつながる。 - ブラックユニコーンの特徴は、明るい酸にある。
- そのカギが、ドライイングプロセスにある。
ブラック・ユニコーンの特別なドライイングプロセスについて
- ドライイングプロセスは、2段階に分けられる。
- 最初の段階は、「サウナ」と呼ばれている。
- サウナの段階では、コーヒーチェリーをパティオに移して黒いプラスチックのホイルを被せる。
- しばらくすると、コーヒーチェリーがサウナ室にいるように、「汗」をかき始める。
- 4時間継続した後、ホイルを取り除き、リフレッシュさせ、乾燥させる。
- この工程を5日間繰り返す。
- 次の段階では、換気機能を備えたグリーンハウスに移して、15日間
- 乾燥させる。
→驚くほど生き生きとした酸をもたらす。 - サウナの段階をブルーベリーと蒸し器を使用して説明。
- ブルーベリーを3種類用意。左からそれぞれ新鮮なブルーベリー、3分間サウナをして乾燥させたブルーベリー、サウナと乾燥を2度繰り返したブルーベリー。
- サウナプロセスのメリットは糖の向上だけでなく、発酵から糖が乳酸に変化する。
- 水を多く使用しないため、環境的にも良く、高いカップクオリティをもたらす。
サウナプロセスの影響
- ブラジルのフラビオ・ボレム(Flavio Borem)教授によると、コーヒー豆の早すぎる乾燥は、種子の細胞から水分を急速に奪い、細胞の破壊につながる。ナチュラルプロセスにおいて、それがフレーバーの一貫性をもたらさない原因となる。
- 時間をかけてコーヒー豆を乾燥した場合、糖の分子が種子内の水の分子と入れ替わる十分な時間を与えることになり、細胞の完全性を確保できる。
- サウナプロセスでは後者の現象が起きていると説明。
焙煎について
- 競技の3週間前に焙煎。
- 焙煎時間12分
- デベロップメントタイムは70%
→タクタイルと甘みを最大化する。
ワールドバリスタチャンピオンシップ2016, 10位 –
エルナ・トスベルグ -プレゼンの流れ
- シグネチャービバレッジ用のエスプレッソを抽出
- エスプレッソコース
- ミルクビバレッジ
- シグネシャービバレッジ
エスプレッソコース
エスプレッソコースのレシピ
- 粉量:20 g
- 抽出量:50 g
- 約25秒で抽出
エスプレッソコースのフレーバー/タクタイル
- ブルーベリー
- レーズン
- ブラジルナッツ
- カカオ
- とてもフレンドリーな甘み、驚くほど生き生きとした酸、低めの苦みでバランスがとれている
- ミディアムボディ
- クリーミー、スムース、ラウンドなマウスフィール
- ロングフィニッシュ
エスプレッソコースのインストラクション
- 10回かき混ぜて、少し冷ますこと。
ミルクビバレッジ
ミルクビバレッジのレシピ
- 粉量:20 g
- 抽出量:50 g
- 約25秒で抽出
- 新鮮なオーガニックミルクを使用。
- 糖質7%、脂質3.5%。
- エスプレッソ:ミルク=1:5の比率で作成。
ミルクビバレッジのフレーバー
- ラムレーズン
- ヘーゼルナッツ
- カカオ
シグネシャービバレッジ
シグネチャービバレッジのコンセプト
- サウナのプロセスの発酵からもたらされる乳酸に着目し、ミルクビバレッジとは異なる新たな次元のシナジーを実現する。
エスプレッソ
- 粉量:20 g
- 抽出量:50 g
- 約25秒で抽出
材料1:発酵させたミルク 10ml
- 8時間ミルクを発酵させる。
- 何百万という乳酸菌が存在する。
材料2:砂糖 3g
- バランスをとるため。
材料3:海塩 少々
- 塩はクレマの苦みを和らげ、唾液の分泌を促進し、より重厚感のあるマウスフィールにする。
材料4:ブルーベリージュース 1滴
- 使用直前に絞り機で絞る。
シグネチャービバレッジの工程
- エスプレッソに材料1,2,3,4を加えて木製のマドラーで混ぜ合わせる。
- グラスにブルーベリーピューレで作成した乾燥した食用ブルーベリーを添えて提供。
→ブリックス値23%のものを使用し、ブルーベリーのフレーバーとチェリーの完熟を表現。
シグネチャービバレッジのフレーバー
- ブラックオレンジ(ブルーベリージュースと乳酸から変化)
- タマリンド
- ナッツ
- カカオ
シグネチャービバレッジのインストラクション
- テーブルのスプーンに置いてあるサウナプロセスの変化を表現したブルーベリー3種類を左から順番に香りの確認をする。
→サウナプロセスと同様に、左から順に甘みが徐々に増し、酸の明るさが増す。
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