味わいを共有することがバリスタであり続けるモチベーションと語る櫛浜(くしはま)健治バリスタは、ジャパン ラテアート チャンピオンシップ (JLAC) では優勝経験があり、ジャパンバリスタチャンピオンシップ(JBC) にも約10回出場しているというコーヒー大会常連さん。
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今回のJBC 2017にて3位になったプレゼンテーションを紹介します。
明確な味わいを楽しむ体験を共有できるため、明確なフレーバーを持つゲイシャ種が好きとのことで、エスプレッソでもカッピングで感じるゲイシャ種の明確なフレーバーを再現できる知恵と工夫を紹介しています。
ジャパンバリスタチャンピオンシップ 2017, 3位
櫛浜 健治-プレゼン動画
残念ながら動画が削除されておりました。
また確認できたらご紹介します。
ジャパンバリスタチャンピオンシップ 2017, 3位
櫛浜 健治-プレゼン概要
使用コーヒー
- コスタリカ タラス
- 農園:ドン・アントニオ
- 生産者名: ホルヘ・メナ氏
- 標高:2160m
- プロセス:ブラックハニー
- 品種:ゲイシャ
- エイジング:8日目(9日目)
コスタリカのゲイシャ種=甘さというイメージがあるが、ドン・アントニオは標高の高さからくるフレーバーと酸の華やかさがある。
ミューシレージを100%残して乾燥させるブラックハニープロセスにより、トロピカルフルーツや完熟フルーツの甘さを引き出している。
問題点:
通常通りの方法でエスプレッソを抽出すると、カッピングで感じるゲイシャ種の明確なフレーバーを感じることができない。
エスプレッソでゲイシャ種の明確なフレーバーを再現することが難しい3つの理由:
- ゲイシャ種のような繊細なフレーバーは高温高圧を使用するエスプレッソでは揮発しやすい
- 適切な焙煎プロファイルが必要
- 水の影響を理解する必要
問題をクリアするために取り組んだ4つのこと:
エスプレッソでも明確なフレーバーを再現可能。
生豆の形状に着目
- ゲイシャらしい細長い形状が4割、丸い形状のものが6割混在していた。
- 細長い形状の生豆はシトラス、トロピカルフルーツ、フローラルの特徴あり。
- 丸い形状の生豆はストーンフルーツのような甘さの特徴あり。
- この2つの形状の生豆の割合をドリンクの種類によって調整する。
ドライアイスで豆を凍らせる
- ドライアイスでエイジング8日目(9日目)のものを使用する2時間前に-79度で凍らせる。
- 冷凍することで100ミクロン以下の粉を大幅に増やし、粉の表面積を増やすことで甘さを引き出す。
焙煎への取り組み
- 細長い形状の生豆、丸い形状の生豆を別々に焙煎
- 20度に保たれたセラーで生豆を保管(焙煎前の生豆の温度を一定にするため)
水にこだわる
- フレーバーの調整役であるバッファーへの理解が重要
- バッファーはアルカリ度ともいわれている、とのこと。
- 長野の水はバッファーの値が高い、その水でカッピング・焙煎を調整し、東京の水で抽出するとフレーバーが引き出しにくいことが判明。
- 東京の水を長野の工場に送り、その水でカッピング・焙煎を調整、会場で抽出。
※丸山珈琲は長野県に焙煎工場あり。
ジャパンバリスタチャンピオンシップ 2017, 3位
櫛浜 健治-プレゼンの流れ
- シグネチャー用のエスプレッソを抽出する。
- ペーパーフィルターでクレマを濾し取り、冷やしておく。
- エスプレッソ
- ミルクビバレッジ
- シグネチャービバレッジ
エスプレッソ
- 粉量: 20 g
- 抽出量: 45 g
- 1口目:オレンジ、パッションフルーツ
- 2口目:ピーチ、パパイヤ
- ボディ:ミディアムより少し重め
- 質感:シルキー、スムース
- アフターテイスト:オレンジの花
- 生豆の割合:細長い形状6割、丸い形状4割
→エスプレッソのフレーバーを引き出しつつ、バランスがとれるよう調整。
抽出量を多くするとフレーバーは抽出できるが、ボディや甘さを失う。
しかし、ドライアイスで豆を冷凍することで100ミクロン以下の粉を大幅に増やし、粉の表面積を増やすことで甘さを引き出すことに成功。
通常であれば過抽出となりがちな多い抽出量でもフレーバーを明確にしつつテイストバランスを保てているとのこと。
ミルクビバレッジ
- 粉量: 20 g
- 抽出量: 45 g
- ミルク温度:55度
- ミルク量:100g
- 1口目:オレンジ
- 2口目:ミクルキャラメル
- アフターテイスト:マンゴー
- 生豆の割合:細長い形状7割、丸い形状3割
→ミルクが甘さと質感を補ってくれるため、よりフレーバーを感じるよう調整。
シグネチャービバレッジ
- 粉量: 20 g
- 抽出量: 45 g
- 1口目:グレープ
- 2口目:ピーチ
- アフターテイスト:オレンジの花
極力副材料をしようせず、コーヒーの持つ別のフレーバーを引き出す。
材料
- ペーパーフィルターでクレマを濾し取り、冷やしておいたエスプレッソ
→クレマを濾して冷やすことで酸を明確に、酸由来のフレーバーを感じることができる。
- キンモクセイウォーター 10g
→花1に対して:水100で1時間水出しを行った抽出液
→ピーチのフレーバー
- アカシヤのハチミツ 5ml
→酸のバランスを整え、グレープのようなフレーバーが引き出せる。
- 液体窒素 20g
→加水せずに急冷するため。
- 細長い形状の豆だけをシフトを使用して500~600ミクロンの粒度に揃えられた粉 10g
- 蒸留水にバッファ10ppm、マグネシウム20ppmになるようにミネラル添加したカスタムウォーター 66g(25度)
工程
- 材料1に材料2~4を加える。-(材料7)
- 手動式のエスプレッソマシンで材料5のコーヒー粉を使用し、材料6のカスタムウォーターで抽出する。-(材料8)
- 材料7に材料8を加える。
→低圧常温により、苦みを抽出せず、低いバッファでフローラルを引き出す。
丸山珈琲の東京セミナールーム
櫛浜バリスタは丸山珈琲の東京セミナールームのマネジャーをされています。
東京セミナールームでは、10月なら例えば
「抽出セミナー”家庭での抽出”編」、
「フリーカッピング」、
「エスプレッソカッピング」
が開催されています。
コーヒーについて確かな知識が得られる貴重な場所です。
丸山珈琲 東京セミナールーム
〒158-0086 東京都世田谷区尾山台3-31-1-101号室
尾山台駅から徒歩5分
駐車場:なし
※ 施設内は禁煙
東京セミナールーム | 丸山珈琲 MARUYAMA COFFEE
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