ジャパンバリスタチャンピオンシップ(JBC)2017準優勝、サザコーヒーの本間啓介バリスタのプレゼンテーションを紹介します。
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本間啓介バリスタのプレゼンテーションでは、ナインティ・プラス社によって、2016年に偶然発見された新しい発酵を意図的に生み出すことに成功した新プロセス「ホセ・アルフレドプロセス」についての説明しています。
そしてそのプロセスを通して作られたナインティ・プラス社の特別なコーヒーロットNo.227の魅力を紹介しています。
また、ロットNo.227が持つ特有のフレーバーをいかに引き出すかについて、バリスタとしての技術的なアプローチを説明しています。
素晴らしい風味のコーヒーを生産し続けるナインティ・プラス社
並外れた美味しいコーヒーを作り出すことで昨今話題にのぼっているのが、ナインティ・プラス社です。
ナインティ・プラス社は、エチオピアとパナマに農園を保持しているコーヒーの生産会社です。
自生している木々を切り倒すのではなく、共生することをテーマにコーヒー栽培を行っています。
コーヒー豆の生産処理工程でイノベーションを起こすことで、多くのびっくりするような美味しいコーヒーを作り出し続けていることで有名です。
今回本間啓介バリスタが使用したコーヒー豆 ロットNo.227は、乾燥工程で「特別な発酵」プロセスが取り入れられています。
コーヒーなのに、「ローズ」とか「ワイニー」とか「バニラ」という表現が使われています。
ジャパンバリスタチャンピオンシップ 2017, 準優勝
本間 啓介-のプレゼン動画
残念ながら動画が削除されておりました。また確認できたらご紹介します。
ジャパンバリスタチャンピオンシップ 2017, 準優勝
本間 啓介-プレゼン概要
技術的なアプローチ
- 焙煎後の豆を色で分ける
- ドリンクに合わせて色違いの豆の配合と挽き具合を変える
- バスケット内の圧力差を利用してディストリビューションを変更する
- エスプレッソの抽出後の温度を調整する。
ホセ・アルフレド プロセス
- 乾燥工程はレッドルームと呼ばれるビニールハウスのようなところで行われる。
- ビニールハウスの柱の部分はその他の場所と比べて日当たりが良くなく、特有の斑点と強い香りが生じていることがわかった。
- レッドルームの中でも日当たりや風当たりの違いで、シャンパンのようなアロマが生まれているコーヒーがあることが発見された。
- そのプロセスを意図的に作り出すことに成功。その工程はホセ・アルフレドプロセスと呼ばれている。(発見者である農園のマネージャー名:ホセ・アルフレド)
使用コーヒー
- ロット227
- パナマナインティプラス ゲイシャエステート
- 品種:ゲイシャ
- プロセス:ナチュラル
- エイジング:10日目
- 農園のマネージャー:ホセ・アルフレド氏
- 2月12日に収穫
- 3月17日に乾燥工程を終了
- 乾燥工程:ホセ・アルフレドプロセス
- 焙煎:温度上昇を抑えながら長めのデベロップタイムをとる。
→ワイニー感と甘さ、フローラルを引き出す。
ジャパンバリスタチャンピオンシップ 2017, 準優勝
本間 啓介-プレゼンの流れ
- エスプレッソコース
- シグニチャービバレッジ用のエスプレッソを抽出。
- ミルクビバレッジ
- シグネチャービバレッジ
エスプレッソコース
問題点
エスプレッソにしたときに、粉量やメッシュをコントロールしても、一体感のある風味をもたらすことが難しい。
問題へのアプローチ
焙煎後の豆を観察すると、色が浅い豆と色が深い豆が発見された。
それらをきれいに分けて、特徴を調べた。
ロットに存在していた割合とその特徴
- 色が浅い豆:80% (華やかさがある。)
- 色が深い豆:20% (甘さがある。多く使用するとアフターにビターさをもたらす。)
プロファイル
- 粉量 20g
- 細かめに挽いた、色の浅い豆16g使用
- 粗めに挽いた、色の深い豆4g使用
- フレーバー:ローズ、ピーチ、ピンクグレープフルーツ、ハニー
- タクタイル:ミディアム、スムース、ラウンドフィニッシュ
ホルダーをあらかじめエスプレッソマシーンから外して置き、40度まで温度を下げておく。
→なめらかなテクスチャーを作り出すことができる。
ミルクビバレッジ
- エスプレッソコースとは異なる魅力を引き出す
- ミルクビバレッジでは、エスプレッソの濃度感をしっかり伴ったときの甘さ・異なるフルーティさを感じてほしい。
コーヒーの異なる特徴を引き出すためのアプローチ
透明のホルダーを使用し、ポルタフィルターの中で起こっている抽出状態を観察・圧力計測にて判明したこと
- 上部:しっかりと圧力が9バールかかっていた。
- 下部:5バールしか圧力がかかっていなかった。
→下部はしっかりと抽出されていない可能性があった。
ポルタフィルターの中で起こっている上部と下部の圧力差を利用して、色違いの豆の配合と引き具合を変更する。
レシピ
- 粉量: 合計20g
- 下部に、細かめに挽いた、色の深い豆を4g
- 上部に、粗めに挽いた、色の浅い豆を16g
- ミルク量:110g
- ミルク温度:55度
- フレーバー:マンゴー、バニラ、ココナッツ
フォームを薄めに仕上げることで、1口目からフォームと液体の一体感をより明確に感じることができる。
上下層を明確に分けることで、抽出の弱い下部の層までしっかりと抽出ができる。
上下層の両方ともが効率よく抽出されることにより、アフターにビターさを感じるが、フレーバーをより明確に感じることができる。
ミルクと合わせることで絶妙なバランスとなる。
シグネシャービバレッジ
ホセ・アルフレドプロセスをイメージしたワインのようなドリンク
エスプレッソ
- ワイニーな印象を感じるために、色の深い豆のみを使用。
- ガラス容器にエスプレッソを移し、その容器を氷水につけて加水なしに急冷。
材料A
- ビネガーシロップ 14g
- バニラウォーター40g (常温)
ビネガーシロップについて
- ビネガー15g、クランベリージュース35g、グラニュー糖50gで作ったシロップ
- ビネガーは、アルコールを思わせるような揮発性を加えるため。
- クランベリージュースは、ベリーの風味を引き出すため。
バニラウォーターについて
- バニラビーンズを軟水に8時間漬け込んだもの。
- バニラの風味を引き出すため。
材料Aの工程
- 冷やしておいたエスプレッソにビネガーシロップを加える。
- バニラウォーターを加える。
材料B
- コールドブリューのロット#227 120g
- アップルジュースを20g
材料Bの工程
- コールドブリューのコーヒーとアップルジュースを混ぜる。
- 質感を補うため、エスプーマを使用してフォーム化する。
※エスプーマ スパークリングは、飲み物や食材に炭酸ガスを添加できるものです。おしゃれなカフェやバーでも利用されています。
最終工程
- 材料Aをワイングラスへ注ぐ。
- 材料Bを5mlのみ上部へ加える。
→ジャンパンや、ストロベリーのような風味を感じるようになる。
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